今、大阪の夜景を見ている。
クリスマスの日に大阪にいるのは何年ぶりだろう。
例年、この時期は本当に忙しい、
給料日にあたるし、年末の支払いもこの日に集まる。
しかも、その原資である売掛金の回収もこの日。
ちゃんと払ってくれるだろうかとヒヤヒヤしながら銀行の口座をチェックしたりした。
外の人々は浮かれていても、一緒になって羽目を外す気になれないのがここ10年ぐらいの私のパターンだった。
クリスマスなんて本当に邪魔だなあと何度思ったことか。
昨日の休みも、経営するものにとってはなくもがなと言う感じだ。
ラジオからジョンレノンの「ハッピー・クリスマス」が流れている。
外の高速道路では、たくさんの車が次々に流れている。
車の光の流れを見る度に、タルコフスキーの「惑星ソラリス」を思い出す。
日本の高速道路の風景が、タルコフスキーにとっては未来社会の風景だったという。
私の目の前に広がる世界が未来なのか。
昔から、どこか未来を信じられなかった私。
高速道路、夢の超特急、月探索ロケット。
絵本に描かれた世界はほぼ達成されたと言うのに、それをあの頃の未来だとは思えないのだ。
携帯電話、壁掛けテレビ、エアコンに家庭用コンピューター。
30年前でも考えられなかったようなことが次々に実現されている。
だが、どうもリアリティが薄いのは何故だろう。
クリスマスの夜。
私はこの日に何かを改めて感じるべきなのだろうか。
だが、今は何のスタートの日でもない。
一年間の努力のご褒美の日がクリスマスだとすると、私はそれをもらえる生き方を何もできなかったということなのかもしれない。
来年はどうなのだろう。
幸せな夜を私は子犬のように待ちわびている。
平井堅の「瞳をとじて」が流れている、世界の中心で愛を叫んだこの一年、来年は何を叫んでみようか、安部邦雄