私の本職はプロデューサーである。
最近、そういう自覚も強くなった。
放送ディレクターとプロデューサーだったら、どちらが好きかと聞かれると、少し困る。
年齢のせいもあるが、今さらディレクターの仕事をすると周りが混乱するような気がする。
10年少し前に、手ごろなディレクターが見つからなかったので自分でキューを振った番組があった。
え?プロデューサーの貴方がディレクターをするのですか?
周りの反応は、もろにそれだった。
大阪時代の私を知っている人には、別にキューを振っても不思議だとは思わないだろう。
だが、東京では私は一人のプロデューサー、つまり後ろで見ている人にすぎない。
それが、前に出てきてキュー振りをするなんて。
つまり、場違いという印象なのだろう。
よせばよかったかな、とその時の私は心からそう思った次第。
だから、それ以来ディレクターの仕事はしていない。
やればできないことはないが、よほどのことがない限り遠慮するようにしている。
で、今の私はプロデューサー。
依頼はそこそこある。
ただ、バジェットがあまり少ない仕事までやるつもりはなくなった。
できれば1千万以上。
臨時だと200万以上の仕事しかしたくないというのが本音。
何しろ、バジェットが多くても少なくても精神的な負担はあまり変わらない。
そう、プロデューサーで一番辛いのは、この精神的負担なのである。
本当、クライアントも代理店も事務所もスタッフも、勝手なことばかり言う。
悪気はないのだろうが、自分の守備範囲を独断で決め、それ以上は私はやらない、なんてスタッフも多い。
で、誰もやらないところは、すべて私の処理する部分になる。
誰もやらないのは、それが精神的負担がきついからに他ならない。
言うならば、他の連中はすべて道の上を歩いているのに、私ひとりその上を綱渡りで歩いているというか。
これは、プロデューサーを本気でやったことがないと理解できないかもしれない。
同じ距離を歩いたとしても、疲れ方がまるで違う。
しかも、それを平気な顔してしないといけない。
大変だ、大変だ、などと言っていると、関係者が余計な不安感を持ちかねない。
プロデューサー不信、なんてことも言い出しかねない。
だから、どんな場合でも平常心、冷静沈着。
そりゃ、疲れまっせ?、ほんま。
ということで、今日は行き詰まりついでにぼやいてみました。
今日も旅の空にて、更新しております、安部邦雄