疲れていたのか、電車の中で眠ってしまっていた。
夢まで見ていたような気がする。
と、その時、思わず身体が傾いた。
え?と思って目をあけると、隣のオッサンがもたれ掛かっていた私の身を外したらしい。
ちらっと見ると、汚らわしい奴め、みたいな表情をしている。
ちぇ、少しぐらい体重がかかってもいいじゃないか。
女の子だったら、そのままほっとくくせに・・ぶつぶつ。
とはいえ、こんな経験、滅多にないことなので私が驚いている。
隣の人にもたれ掛かって寝るなんて、初めてではないだろうか。
疲れているのか、それとも太りすぎで自分の体重を支えられなくなってきたのか。
いずれにせよ、気をつけないといけない。
もう私は昔のような、元気な青年ではないのだから。
そうそう、今日、飛行機で伊丹から東京に戻ってきたのだが、市内から伊丹空港までの高速道路が10月一杯通行禁止だった。
別に台風とか地震の影響ではない、関西では高速の工事は思いきってしばらく全面通行止めでやるのが普通なのである。
1車線だけを通行止めにしてちまちまやるより、不便でも全面通行禁止にした方が工期も短く、迷惑もその時だけで済むという理屈からだ。
ま、それはそれなりに理屈としては通っている。
しかし、市内からバスで空港に行くものは、大変。
色々迂回しながら、1時間ほどかかって空港に着いたと言うわけだ。
その間中、私はずっと目を開けて、周りの景色を見ていたが、斜前の若い衆、軽いいびきをかきながらずっと寝ていた。
どうせ、時間かかるのだろう、諦めるしかないとでもいうように。
よくわかるが、いびきだけはちょっと迷惑ではあった。
とはいえ、大いびきが癖になった私、他人の事はいえたことではない。
そういえば、今日の昼間、久しぶりに太陽が暖かだった。
きっと、太陽が、私達の疲れを知って、しばしまどろませてくれたのかもしれない。
被災者の人々に、太陽の恵みあれかし。
やること一杯あるのに、やれることがほとんどないのは何故?安部邦雄