同時テロ事件の話題から私自身がまだ抜けられない。
しばらく時代のウォッチャーとして、冷静に推移を見守るしかないのかもしれない。
ニューヨークでは、今回のテロ行為を「KAMIKAZE ATTACK」と「PEARL HARBOR」の二つの言葉で表現する人が多いそうだ。
「ラディン率いるイスラム原理主義のテロリスト集団が、昔の日本のようにパールハーバーに向かってカミカゼ攻撃をくわえた事件」と理解しているらしい。
つまり、日本の真珠湾攻撃も神風特攻隊も今回のテロ行為と同じレベルで受けとめられていると言うことなのだろうか。
ネットの掲示板に、シニア層から反論がわんさか寄せられている。
神風特攻隊はやむにやまれぬ行為であり、崇高な精神に裏打ちされているのだ。
今回のような卑劣なテロと一緒にするな!だそうである。
神風特攻隊は、一人で飛行機を操縦して行った。
孤独に耐えて、敵艦にぶつかって行ったのである。そんな精神を今回の他人を犠牲にして何とも思わないような連中と同列で語るのはおかしい!
神風特攻隊=テロリズム、でないことは私も同意。
しかし、精神的な構造はあまり変わらないだろうな、と今はそんな感想を持つ。
ある本を読んでいると、特攻で散華した日本の若者は4000人以上とあった。
4000人以上のテロリストがいたと仮定するとぞっとするのは私だけではなかろう。
イスラム原理主義が昔の日本のように、若者に神風特攻隊を強制したとしたら、これは怖いことだ。
テポドンが飛んで来るどころの話ではない。
今は、日本人のほとんどは、神風特攻隊で戦死していった若者たちを、戦争の犠牲者という形で弔い、靖国神社に神として祭ることに何の違和感も持たない。
しかし、世界的視野から見た時、テロリスト集団の行為を「KAMIKAZE ATTACK」と表現し、その狂気ぶりを過去のパールハーバーにアナロジーする人たちが一杯いるということに無関心であってはいけないと思う。
日本国内で、それは違う!といくら叫んでも世界にはあれは「KAMIKAZE ATTACK」なのだ。
感情的には違和感がある。しかし、とりあえずは冷徹なその事実を謙虚に受けとめるしかないのではと思う。
靖国問題が夏が終わるとともにどこかへ消えていきつつある。
そして、海の彼方から、大日本帝国の過去の悪夢が蘇ってくる、秋の訪れである。
何て鬱陶しい、日本の21世紀だろうか。
ワイドショーの議論を何とかしろ!、と思ってしまう安部邦雄