ある人から、チョコレートがどさっと送られてきた。
キティちゃんにハム太郎君。
色々あるものだと感心。
まもなくバレンタインデーなんですね。
バレンタインデーって、私の小学校の頃はなかったような気がする。
中学校も高校時代も大学時代もほとんど貰った記憶がない。
ある人のホームページを覗くと、バレンタインデーにチョコレートを贈る風習は、少なくとも1975年頃にはまだ一部で行われていただけだとあった。
そうかもしれない。
私も、女性がデパート等で争うようにチョコレートを買うのを見たのは、会社に入ってからだった。
少し冷笑的だった私は、自分の机の上に「義理チョコボックス」を置いて、「皆様の愛をこちらにお入れ下さい」と書いた紙をそこに貼付けておいた。
嫌な野郎だぜ、俺ってやつは。
この日にチョコレートを贈る風習を考えたのはモロゾフだと言う。
モロゾフがキャンペーンを始めたのは戦前らしいが、この風習を広めたのはチョコレート業界であることは確かだろう。
前にも書いたが私は昔はチョコレートが大好きだった。
森永ハイクラウンチョコレートが一番好き。とりわけ黄箱のピーナッツチョコ。
その次が不二屋のハートチョコ。
ところが、バレンタインの頃になると、これらのチョコレートが市場から消えてしまうのだ。
私は呪った。
バレンタインなんかあるから、一番食べたいチョコレートが買えなくなる。
高いチョコレートなんていらない。
ピーナッツチョコが食べたーい!
贅沢な男のわがままだと言えばそれまでだが。
しかし、戦後アメリカから色々な文化が入ってきたが、何故にバレンタインデーばかりこれだけ隆盛を極めるのだろう。
ハローウィンなんて、アメリカンスクール等では大変話題だが、日本トータルとしては、それほど盛り上がっていないし、サンクスギビングデーとなると、何それ?という感じだろう。
後、イースター(復活祭)などもそうだ。
クリスマスばっかり盛り上がって、それと同じほど重要なイースターがほとんど無視状態。
結局、日本人がクリスマスとかセント・バレンタインデーを祝うのは、もっと土俗的な要素がからむからなのだろう。
で、バレンタインデーというのは、昔で言えば「歌垣」なのではないだろうか、と。
男と女が「市」に集まり、互いに歌を交わしあう。
最後にお互いの名前を言い合えば、結婚成立。
後は、どこかで契りあうだけ。
バレンタインデーとは、言ってみればこの「歌垣」の変種なのではないか。
そう考えれば、このバレンタインにチョコレートを贈る風習と言うのは、なかなか伝統的な味わいがあると思うのだが、いかがだろうか。
伝統的な風習だからこそ、後で「お返し」という日本古来の習慣とも簡単に結びつくのだ。
ホワイトデーは三倍返しっていうのだけ、ちょっと気に入らないが、歌を返すぐらいだったら、私はいくらでもしてあげたいなあ。
モノを返すのではなくて、心を返す、バレンタインデーってそうありたいものではないですか。
何で何万円もするブランドモノのバッグ買わなあかんねん。
そう思いません?
仕方がないから、あなたにもあげるわ、なんて言われてチョコレートもらっても嬉しくないよ、安部邦雄