「梃子(てこ)でも動かない」という言葉がある。
梃子を使っても動かないのだから、よほど重いんだろう。
というか、それだけの意志を持っているということか。
先日見た映画「初恋の来た道」では、「母の意志は石のように固かった」なんて表現がされていた。
「初恋の来た道」については、いつかとりあげたい。
久しぶりに、感動した作品。
思わず3回も見てしまった。
ヒロイン(チャン・ツィイー)、大好き。
で、この映画を見てつくづく思ったのだが、女の人って、意地になったら動かないよねー。
父が死に、昔風の葬儀をするんだ、と言ってきかない母。
それを持て余す、村人と息子。
みんな迷惑なだけだから、と説得する息子に、「みんな、お父さんに世話になったんだ、迷惑なものかね!」と怒る母。
梃子でも動かない、周りが迷惑であろうと、やるといったらやるんだ。
こういうのって、女性特有の行動だなあとつくづく思う。
女の人って、一度でも喧嘩したら、こちらが許しを乞うまで謝らない限り、絶対に男を許したりしない。
根に持つというか、恨みは忘れないというか。
10年以上もたつのに、あの時、あんたはああしたこうした、という話をいきなり始めたりする。
そんなの忘れたよ、というと、ウソ!覚えているはず、私は死ぬまで忘れない!と怒る。
そんなの覚えていて何のいいことがあるんだ、早く忘れた方がイイに決まっているのに、と男は思うのだが、何故かずっと覚えている。
喧嘩というと、一度口をきかないと決めたら、本当に口をきかない。
そんなのかえってしんどいだけだろうと思うのだが、意地になってしゃべらない。
人間なんて社会的な動物なんだから、そのあたり適当に感情をコントロールして、お互い仲良く暮らそうよと思うのだが、女の人はこんな理屈など歯牙にもかけない。
「私は貴方と口をきかないと決めたんだ!」と顔は語っている。
それがプライドなのかね?
馬鹿馬鹿しくないのかな。
それと怒っているのか泣いているのか知らないが、その場所にずっと座ったままで動こうとしないのも理解不能。
何故に、そんなところでじっとしていられるのだ。
一体、そんな長い間、何を考えていられるのだ。
無念無想なのか、それとも時間の観念が全く失われてしまうのか。
え?まだ、そこにいたの?
もう5時間ぐらい経っているぜ。
信じられない。
鬱陶しいから、早くどこかへ行ってくれないかなと思う男。
梃子でも動かない女。
女性と我慢比べをしたら、絶対に負けるなあと思う。
これぐらいのふてぶてしさがなければ、子供なんか育てられないのかもしれない。
遺伝子の中に組み込まれているのだろう。
それゆえ、女の心はわからない。
時に身勝手、時に魅惑的。
それでも、怖いもの見たさで今日も男は女に近づいて行く。
私の身辺で、又一匹の雄が、蜘蛛の糸にひっかかったようだ。
でも、その蜘蛛の糸はお釈迦さまの掌のように、暖かく心地よいのかもしれない。
ま、そういうことで、とりあえず管理人君、結婚おめでとう。
蜘蛛の巣にかからず、毎日気侭にぶらぶらしている私が、かえってみじめな気持ちになるのは何故なんですかね、安部邦雄