今年の阪神タイガースは確かにすごい。
野球の実力もそうだが、それ以上に現象がすごい。
阪神が勝つだけで、こんなに日本全体が盛り上がるとは思わなかった。
経済効果が1000億以上なんて言う人もいる。
消費意欲が旺盛になるかどうかは私の知るところではないが、現象を分析するのが好きな私としては、久しぶりにわくわくするものがある。
私は奈良で生まれ、大阪で育った生っ粋の関西人である。
東京に移り住んで15年だが、高校野球は依然近畿地区の代表校を応援するし、甲子園ボウルは関西代表びいき、ラグビーだって、同志社か神戸製鋼に是非買ってほしいと思っている。
それなら、もちろん阪神ファンだろうと思われるかもしれないが、これが違う。
子供の頃は、巨人ファンである。
長嶋の一挙手一投足に憧れたものである。
当時、我が家は下宿屋もやっていた。
当然、近畿地区以外の色々なところから人がやってくる。
そういう人はたいてい巨人ファンだった。
で、私に巨人の話ばかりをする。勢い、私も巨人ファンに、というわけだ。
稲尾の大活躍で巨人を大逆転した日本シリーズというのがあったと思うが、あの時も私は巨人ファンだった。
残念な気持ちが今も記憶の中に残っていたりする。
ついでにセリーグは巨人ファンだったが、パリーグは阪急ファンだった。
自意識が芽生えだしてから、関西の私が巨人を応援するのはおかしいと気付きはじめた。
中学から高校時代には、おかげで阪急ファンだけになった。
南海がやたら強く、杉浦や皆川に阪急はぼろぼろにされていた。
野村なんか、大嫌いだった。
ああ、若かりしあの頃よ。
話がそれてしまった。阪神の話に戻そう。
阪神が強いと関西の文化にも活気が戻ってくる。
商売はさっぱりやけど、阪神が強いので救われるなどと言う人も増える。
何で救われるのか、部外者にはさっぱりわからないが。
関西のテレビやラジオ局も、阪神を商売にタイムやスポットの売上が増えるという。
スポンサーが、阪神の優勝をきっかけに消費が伸びることを確信するかららしい。
購買マインドに、阪神タイガースを媒介にして自分たちの商品を訴えかけようとするわけだ。
阪神の快進撃によって、発火点に近付きつつある消費者のマインド。
確かに、この現象に乗らない手はない。
しかも、これが、関西だけの現象ではないということに、ナショナルスポンサーも気付きはじめた。
東京にある球場の阪神ファンの目立つこと、目立つこと。
阪神の出る試合のチケットは、どの球場もプラチナ化しているという。
まるで、昨年のW杯のような盛り上がり方である。
とにかく阪神ファンは若くて元気がある。
巨人のオッサンくささ、うさんくささとは大違いである。
別に阪神ファンでも何でもない私が言うのだから間違いない。
これをきっかけに野球の世界も構造改革が始まることを期待したい。
いつまでも、誰かの金もうけに利用されるだけのプロ野球であってほしくないからだ。
阪急ファンだった私は、それゆえパリーグファン、前の阪神が優勝した時、日本シリーズは西武を応援していた、オールスターも勿論パ、大リーグも松井よりイチローである、安部邦雄