地方というか田舎というか、最近までその価値は極めて明らかだった。
中央都市で必要な労働力を供給する土地だったわけだ。
コメでいうなら苗代、魚の養殖でいうなら稚魚の生産地とでも言おうか。
その価値が落ちているということは、すなわち従来のような労働力の供給地としての力が落ちているということだ。
昔は出生率は今と較べて格段に高かった。
5人兄弟とか7人兄弟とかはあたりまえだった。
今や、多くて3人。
1人で充分という家も多い。
加えて農村部とかは、子供を産む能力のある世代も減りつつある。
地方は、大都市に労働力を供給する場ではなくなった。
それゆえ、従来のような国家的な投資はほとんど無意味になっていると言っていい。
高速道路を作っても、対費用効果は落ちる一方である。
そりゃ、そうだ。
高速道路を専ら使う世代が地方は減る一方だからである。
では何故こんなものに国は投資するのか。
今までの費用で高速道路を作ろうとすれば、地価の安い田舎しか残っていないからである。
東京周辺で高速道路を作ろうとすればべらぼうに高くなる。
地方に高速を作らないで、東京だけで作るとしたら、もっと早く外環道でも圏央道でも作れたろう。
しかし、そういうわけにはいかなかった。
地方の土建業者に仕事を与えないといけないし、政治家も地方出身者に実力者が多かったからである。
もちろん官僚もそうだ。
局長以上の官僚は、半数以上は田舎出身のはずだ。
都会にこれ以上予算をかけるよりも、自分の故郷を何とか活性化したいと思うのは人情だと思う。
しかし、もうこの方法は行き詰まっている。
地方にいくら金をかけても、投資効果は落ちる一方である。
労働の供給力はなく、道路を作ったとしても、その地域が産み出す富はもはや日本の産業を起こすポテンシャルもない。
相変わらず、工業団地の造成に力を入れたり、空港誘致などをやっている地方があるが、そんなものを作っても誰が使うんだと言う声の方が大きいのが昨今である。
地方には、民間レベルではこれ以上の金の移動も人の移動も考えられない。
まだ、東南アジアや中国に進出した方が、金は金を産むだろうし、より安い労働力だってふんだんに手に入るだろう。
地方は、本当に衰退している。
夏休みに、ちょっと地方へ行けば、使われなくなった施設や建物があちこちにあるのに気づく。
富を産み出すことができなくなった投資失敗の成れの果てである。
地方への投資は、おそらくしばらく活発化しないだろう。
また、すべきではないと私は思う。
地方は自分の創意工夫で、地道に辛抱強く耐えるしかない。
安易に政府を頼るような旧来型の役所仕事は否定されなければならない。
その意味で長野の田中康夫前知事の取り組み方は、一筋の希望だと私は思っている。
それに比べて長谷川とか言う弁護士さんは何なのですかね、アイデアもなしに、衰退一方の地方政治をどう改革しようというのだろう、センスのない人には、イノベーションは無理だと思いますね、話合い優先じゃ、もはや衰退は止められないでしょう、安部邦雄