風邪を引いた時には安静にするのが一番というので、家に帰ったら即、蒲団の中という日が続いている。
寝つけないので、ラジオを聞いたり、落語のカセットを聞いたりしている。
ラジオを聞いていて思ったことだが、確かにTBSラジオは一時期より面白くなった。
聴取率1位というのもだてじゃないなあという気がする。
知らぬ間に、TBSの中で改革がなされていたのだろう。
私のいた放送局も、早く改革に着手してほしいと思うが、伝え聞く話ではどうも無理そうなのが残念だ。
落語のカセットは最近は米朝さんのものが多い。
ここんとこ、毎回聞いているのが「江戸荒物」という噺。
荒物は江戸のモノの方が上方より品質がいいというので、新しく江戸荒物屋を開業しようと言う噺なのだが、ついでに言葉も江戸風にと言うのでテンヤワンヤになる。
全体に古い噺なので、色々と説明をしないと今の人には理解出来ないことが多い。
その中で、え?こんなこともわからないの?というのが、荒物屋という商売。
私の若い頃には、商店街には必ず1軒はあった商売だが、そういえば荒物店という屋号をだしているところは最近ほとんど見かけなくなった。
考えたら、荒物屋だけではない。
金物屋、乾物屋、小間物屋というのもあまり見かけない。
水戸黄門は縮緬問屋の御隠居なんて自称していたが、縮緬問屋だって、どれだけ若い人に理解されているかわかったものではない。
ああ、きっとチリメンジャコを卸しているんだな、と取り違えている人もいそうである。
いや、ちりめんはきっとチリチリ麺のことだと思っている人もいるかもしれない。
ちりめんというのは、基本的にチリチリしているのはその通りなのだが。(もちろん、生糸問屋のこと)
さて、荒物屋。
台所用品で、金物でないのが荒物だと理解して良いだろう。
金物屋は、即ち台所用品の金物ばかりを扱っている店。
包丁等は別に包丁ばかりを商う店があるようだが。
道具屋筋というのが、東京はカッパ横丁、大阪は千日前にあるが、ああいうところが基本的に荒物屋の卸しが集まったところと考えられる。
しかし、乾物屋というのも最近ほとんど見かけない。
干物や雑穀類を売っているというイメージ。
棒ダラとか身欠きニシンとかカズノコとかは乾物屋に売っていた。
今は、こういうのどこに売っているのだろうか。(今はスーパーが一般的なのかな?)
寒天なんかも乾物屋だったな。
商店街になくなった店というと、呉服店も減ったような気がする。
大島の着物をいなせに着こなして、奥様相手に商売をする若旦那のイメージ、それが呉服屋なのだが、そんな若旦那も、もういるわけないということか。
私の実家が営んでいた質屋も、消費者金融の前に衰退の一途だし、町の釣り具店とか、スポーツ店なども減った。
ミシン屋さんも一軒は確実にあったが、最近はとんと見かけない。
卵屋さんというのもあったはずだが、もはや卵だけでは商売にならないのだろう。
昆布だけを売っていた店もあったし、炭屋さんもとんと見かけない。
暖房に炭を使う家なんて、もうほとんどないでしょうしね。
目立つのは、携帯電話の店とかドラッグストアばかり。
一体薬というのは、どこまでが原価なのかさっぱりわからず。
あれだけ店が増えているところを見ると、売上に応じたバックマージンも相当でかいのだろう。
さて、あと10年ぐらいしたら、今度はどの店がなくなるだろうか。
ひょっとして、タバコ屋さんあたりが危ないかもしれない。
これは私は大歓迎。
どんどんタバコの税金を上げて、誰もが禁煙できるような環境を早く作ってほしいと思う今日この頃である。
風邪は依然体内で元気一杯、私自身は反比例して全く元気がない、こうなりゃ私自身が風邪になって元気を取り戻すしかないなあとシュールなことを思っている、安部邦雄