テレビを見ると、浜崎あゆみのコマーシャルが立て続けに流れた。
一つはパナソニック、一つはサントリーのBOSS。
後者は、今年の好感度1位などと書いたマスコミもあった。
そういえば、今年の有線大賞を受賞したという記事も新聞に載っていた。
シングル「H」は今年唯一のミリオンセラーと言われ、浜崎あゆみの人気は未だ衰えていないという人もいる。
前にも書いたが、浜崎あゆみは既にカリスマ的魅力を失っているというのが私の意見だ。
おそらく、彼女のファッションやメイクは東京などの都会でそのまま真似するギャルはいなくなるだろう。
ayu(あゆ)というネーミングは、今年の前半ぐらいまでは確かにブランド的価値があった。
都会のギャル達は、そのブランドを信仰し、誰よりも早くayuになろうと努力していた。
しかし、今やそんなゲームは存在しない。
最初に書いた「浜崎あゆみ」にまつわる現象は、その残滓でしかない。
彼女自体の利用価値はまだまだ存在する。
彼女がテレビに出れば、某かのインパクトはあるし、オッサンやオバハンも彼女を知らないものはそうはいない。
田舎に行けば、相変わらず彼女をカリスマのように思う連中もいるだろう。
だが、そのブランドはもはや古いのだ。
イノベーターと呼ばれる層は、もはや彼女に興味はない。
いや、彼等が興味があったのは、ayuというブランドであって、生身の浜崎あゆみではなかったということかもしれない。
若者ならみんな持っているといわれたものと同じだ。
例えば、たまごっち。
相変わらず、それ自体の価値はないとは言えないが、話題にするのは気が引けるだろう。
そんなものを囃すことは自分の価値を下げることになる。
え?今頃何言っているの?
そう言われたら悲しいだろう。
浜崎あゆみを話題にすることは、都会においては、段々そうなりつつあるということだ。
最新のデータによると、彼女の売り上げは昨年と比べて100億円も減ったそうである。
それでも200億以上の売り上げがあったというが、100億減というのは半端じゃない。
CDの売上が全体として減っているのは事実だが、よく比較される宇多田ヒカルはそこまで減ってはいない。
もう、先を争ってまで買う対象ではない、それが浜崎あゆみなのである。
では、そういうことが事実であったとしても、何故に彼女がマスコミで話題になるのか。
それは、結局業界の都合ということに他ならない。
よく言われるのは、彼女が売れなくなったら困るのが広告代理店だということだ。
所属するavexが使う広告費は年間100億近いはずだ。
その扱いを一手に引き受けている広告代理店にとっては、彼女が売れなくなるということは、その分だけ売上が減るということ。
又、それ関連でCMブッキングした関連売上(BOSS他の広告関連費用)もなくなるということだ。
彼女は、たとえ実体はどうあれ、カリスマとして今も健在であることを見せつけないといけない。
そのために情報を操作する。
「何とかが、どこそこで大人気!」「若い子の間で話題沸騰!」「絶賛発売中!」などと一緒である。
中国での公演大成功とか、アジアで熱烈歓迎とか、好感度一位とか、何とか大賞グランプリとかもそう考えてさし支えない。
それらは何とでも演出できる。
NHK紅白歌合戦の出演だって意のままである。
意のままにならないこと、それがCDの実際の売上だったり、テレビ番組の視聴率だったりする。
本当に怖いのは消費者なのである。
インターネットが普及しはじめている昨今、消費者は消費者同士情報を交換しはじめた。
これは、従来の供給者にはとても怖いことだ。
最近のCCCD騒動にもそれは顕著に現れているのだが、あんまり私が書き過ぎると業界から文句が一杯来そうである。
とりあえず、今日はこれぐらいにしておいたろかい。
最近、宇多田さんってどうしてるのでしょう、私の印象は彼女がビートルズなら、ayuはストーンズってところ、つまり真似ばかりしているということなのだけど、このニュアンス、今の人には伝わらないでしょうねえ、安部邦雄