昨日のある喫茶店に置いてもらっていたタバコは「PARTNER」という軽いタバコ。
確かに私のまわりで吸っているのは誰もいなかった。
タバコを置いた側は、これを置くと私が毎日のように来てくれるはずだと思ったのだろう。
これは、事業家としては意義のある投資といえないこともない。
ところが、この投資は二つの点で錯誤があった。
私がタバコをやめるという可能性を無視したこと。
当然、そういうリスクは意識しておかないといけない。
次に、私がその場所に今後も通うことを前提としていたこと。
皮肉なことに、禁煙してしばらくしてから私は人事異動され、ほとんど行かなくなったのだ。(営業→制作)
その喫茶店に通っていたのは、私が営業マンでその店が私の担当する代理店のそばにあったからだ。
その代理店は、警備の厳しいビルの中にあったので、私は必要な時以外はそこにはいかず、ずっとその喫茶店で代理店の連中が立ち寄るのを待っていた。
意外とこのやり方は確率がよかった。
何しろ、色んな部署の人に会えるし、クライアント情報とか他局の情報も容易に得ることができたのだ。
喫茶店にいることが仕事なのだ。
もちろん、会社はそれを仕事とは認めなかったろう。
何しろ、誰も来なければ、タバコ吸って、漫画とか週刊誌読んでいるだけなのだから。
そのコーヒー代とかタバコ代はどうした?
もちろん、店に適当にまとめて領収書を書いてもらっていた。
喫茶店と仲良くなると、色んなメリットがあるのだ。
とにかく、営業は売上さえあげれば何でもありなのである。
金の稼げないやつは、行いが立派であろうと、会社の命令に100%従順であっても、営業マンとしては失格である。
だいたい会社の方針とか上司の命令に素直に従っていたら、絶対売上は上がらない。
大事なことは自分の判断である。
ま、営業マンに限った話ではないが。
今日は、もう1つ世間話みたいことを書いておく。
竹内均編の『テレビの秘密、ファックスの謎』(同文書院)で取り上げられていた話に思わず「へえ、知らんかったなあ」と感心したのだ。
それは魔法瓶のメーカーの話。
第一次世界大戦の頃、魔法瓶を作っていたのはもっぱらヨーロッパだった。
それをインドやアジアの国が輸入していたのだが、大戦のため生産ができなくなった。
そこで、ガラス産業が盛んだった日本(とりわけ大阪)に発注したという。
当時の日本は、家には必ず火鉢があり常にやかんでお湯をわかしていたため、魔法瓶の需要はほとんどなかった。
いきなりの特需に大阪のガラス産業が大量生産を開始、どんどん輸出したという。
で、私が「へえー」と思ったのはここから。
そういうわけで、魔法瓶のメーカーはインドやアジアになじみのある動物が商標となっているのです。
確かに、今もある有名どころというとタイガーと象印だ。
ほかに直ぐに思い出せるのが、エベレストとピーコック。
なるほど、現地の人がすぐにわかるものばかりだ。
魔法瓶はアジアの動物や、名所の名前がついていたのだ。
知らんかったなあ、でも納得するなあ。
当時は、魔法瓶メーカーも大阪を中心に一杯存在していたことだろう。
何しろ、アジアの動物の名前とか絵を入れて輸出したら、面白いように売れたはずだから。
誰か魔法瓶メーカーの名前、他に知っている人がいたら教えて。
ひょっとしたら例外あるかもしれないからね。
考えたら、魔法瓶なんて言葉、そろそろ死語かもしれない、あれが魔法なら、もっと魔法なことがいくらでもある、でも遠足には水筒代わりに持たせるかもしれないなあ、今、何て呼ぶのかな?安部邦雄