だいぶ前になるが、同じタイトルで廃屋のようになった都営住宅に住んでいる人の話をしたことがあった。
私の住む浜田山のそばの高井戸駅周辺にある団地の話だ。
戦後、しばらくして建てたのではないかと思うほど、鉄は錆び付き、荒れ放題という風情だった。
でも、そんなぼろぼろの家にも人は住み続けていた。
おそらく、家賃は1万円もしないだろう、ひょっとしたら払っていないのでは、と思わないでもないような建物だった。
とはいえ、表には無造作に自家用車が停められていた。
金があるのかないのか、どんな住人が住んでいるのか、全くイメージができないとでもいおうか。
そして、何ヶ月ぶりかで、その地域へ散歩に行った。
そこで見たものは。
立ち入り禁止になった何棟かの建物。
壊している途中の建物。
すでに新しい棟ができあがりつつあるもの。
そう、かって見た住人はもうそこには誰もいなくなっていた。
人々はどこへ行ったのだろう。
窓はすべてベニヤ板でおおわれ、一部のまわりは鉄板でしきられている。
その後には、新しい都営住宅ができると看板に書いてあった。
幹線通り沿い以外は、5階以上の建物が立てられない住宅地。
ただ新しくなったというだけの都営住宅が建設されているということのようだ。
5倍、いや10倍ぐらいの家賃になって、住宅は都民に貸し与えることになるのだろう。
また一つ風景が消えた。
どれだけ古い建物が壊されたら、私達の幸せはやってくるのだろう。
♪The answer my friend is blowin' the wind.
♪The answer is blowin' the wind.
目をさました時、のどが痛かった、風邪をひいたのかと思い、薬屋さんで薬を買った、身体がだるい、肩が重い、頭がまだ冴えているからいいが、このまま動けなくなったらいやだな、安部邦雄