まもなく8時だ。
今から関空へ行き。東京へ戻る。
毎日、打合せが入る。
どれも簡単ではない内容ばかり。
笑顔で別れた後は、私に重い作業が残る。
何だ、結局まともに考えるのは俺一人か。
とはいえ、ろくでもない奴に企画を考えさせるなら、自分でやった方が後々楽なのも事実。
みんなは無責任に、思い付きを言っていればいい。
それを採用する、採用しないは私が勝手に決めさせてもらうから。
今は大阪にいる。
芭蕉がなくなったのも、ここ大阪。
芭蕉がなぜ大阪で生涯を終わらなければならなかったのか、大阪に対するアイデンティティがあったとは思えないのに。
此道を 行人なしに 秋の暮
芭蕉と大阪といえば、辞世の句扱いされている「旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる」というのがあるが、この句も大阪で詠んだものである。
まもなく終わろうとする自分の命の寂寥感が「夢は枯野を」以上に、私の胸にせまってくる。
私もまた、行く人のない道を歩んでいるのかもしれない。
秋の暮れのわびしさ、そして誰にも知られないまま朽ちていくわが身への諦め。
さ、そろそろバス乗り場に向かうか。
都心から高速で関空に向かう景色は世界中どこにもないとテレビで言っていた、堺臨海工業地帯のロボット群が建ち並んでいるような光景なのだ、確かに私が最初に見たときも少し感動があった、一度皆さんもご覧あれ、安部邦雄