ベンチャー企業というのは、瞬間芸みたいなものである。
「何でだろう、何でだろう」と歌いながら、不思議な踊りをする芸人。
「三瓶です」といって、手踊りする芸人。
本当に何らかの芸があるわけではない、ただ、その時代に受け入れられやすいものを瞬間的に作っただけの芸人がもてはやされたりする。
そう、ベンチャー企業も同じだ。
みんなが瞬間的に、お、これはいけそうだ、と思えるベンチャーが評価され、時間はかかるけど、じっくり練れば面白くなるような企業はほとんど相手にされない。
時間がかかるような事業は、実績のある大企業がやる、ベンチャーは瞬間芸だけやっていればいいのだ。
何か踊らされているだけのようなベンチャー企業。
正常な神経していたら、こんな馬鹿馬鹿しいことやってられないと思うんではないだろうか。
最近、そう思いはじめている私。
日本の文化の薄っぺらさが気になって仕方がない。
何かをなしとげようと思えば、拙速であってはいけないのではないか。
思いきり背伸びしたり、外見ばかり大きく見せていては、最後には、自分が辛くなるだけである。
いかに不遇な今に耐えるか、それが成功する企業かどうかの分かれ目かもしれない。
世は不景気、ベンチャーが伸びるには一番きつい時でもある。
金がまわらなければ、投資すらできない。
投資なくして、ベンチャー企業の生きる道はない。
それでも、一度、ベンチャーの道を選んだものには、耐えることに自分の活路を見い出すしかないのだ。
持久戦は辛い。
食料は尽きるし、体力が落ちる為に病魔にも襲われやすい。
精神的にも、どんどん追い込まれたりするものだ。
こんな時に、人は簡単に騙されたりする。
楽じゃない、本当に楽じゃない。
若者にベンチャー精神を植え付けようと、政府は盛んに奨励策を打ち出しているが、それに呼応する若者なんかほとんどいない。
会社を起業させるのは、オッサンばかり。
そして、次々失敗している。
おそらく日本の産業政策はどこか間違っている。
それに気づかない日本の官僚こそ、一番問題な存在なのだと最近そればかり言い続けている私なのである。
耐えることを知らないものに未来はない、耐える術を知らないものに成功はない、後は結局体力勝負か、安部邦雄