7月も半ば近くなのに、今年はいつまでも鬱陶しい日が続く。
本当に久しぶりに梅雨らしい梅雨が訪れている。
昨今、夏らしい夏とか、冬らしい冬とか、きっぱりとした季節感というのが味わえなかったような気がする。
いつも、寒かったり、暑かったり。
変な時に台風が来たり、長い間、雨が降らなかったり。
よく聞かされるのだが、昔は本当に雪がよく降ったらしい。
日本海側の人もそう言うし、私の親も何度もそう言った。
子供の頃、そうまだ幼児の頃の記憶だが、家の前に降り積もった雪の上で、じっとしていたことを覚えている。
そんな雪はあの時以来、見たことがないような気がする。
東京は、大阪とは違ってよく雪が降るなあ、と実感する。
4?5年前、10センチ以上の雪がつもり、家の前に雪のトンネルができたのには、本当に驚いた。
家の前は、鬱蒼とした森が続き、枝が道路の上まで伸びて来ているのだ。
だから、前も上も全部真っ白になる。
東京が雪国になった。
そこはいつも自分がいる世界ではなかった。
不思議の国のアリスか、と見まごうばかりの雪明かりの夜だった。
本当に、今年の梅雨は、毎日少しでも雨が降っている。
暑いと言っても、太陽にやけどするような、そんな夏独特の暑さではない。
じめっとした、梅雨独特の暑さ。
それでも、今年は一度もクーラーをかけていない。
東京電力の不手際で、今年は電力不足が話題になっているが、今のところ何の不自由も感じられない。
このまま秋になってほしいなあ、とも思うが、それでは夏に稼ぐ人たちが困るだろう。
雪が積もらなくて、大打撃を受けたスキー場の話はよく聞くが、夏が寒くて、海辺にひとりも客が来なかったということは聞いたことがない。
雪のないスキー場って、あまりに可哀想だなあと思いますね。
今日、蝉の初鳴きを聞いた。
アブラゼミのジーーーーーという長い声だ。
土から出て来たばかりで、まだ声に迫力はないが、それでも、ああ、夏が来るんだなあ、と心の中で呟いたりした。
輝きが 身体に痛い 夏のまどろみ