明日は明日の風が吹く、というのは、石原祐次郎の日活映画のタイトルだった。
霧笛が俺を呼んでいる、というのもあった。
どんな映画だったのか、子供過ぎてさっぱり覚えていない。
でも、明日は明日の風が吹く、というフレーズを最初に考えたのは誰だろう。
今日はどれだけ辛くとも、明日は明日の風が吹くだろう。
吹くのは冷たい北風ばかりではない。
勇気を持って、もう一度立ち上がろう。
「風とともに去りぬ」で、スカーレット・オハラが故郷の再起を誓う場面にも通じる言葉だと思う。
ノンシャランとしたニュアンスもあるのかもしれない。
今にこだわることを戒めているのだろう。
and the wind must blows..
なんてのもある。
綺麗な言葉だ。いい訳はできないけど。
Le vent se leve !... il faut tenter de vivre !
ポール・ヴァレリーの一節。
堀辰雄が「風立ちぬ」の冒頭で引用していた。
これは、本人の綺麗な訳がある。
風立ちぬ、いざ生きめやも!
でもフランス語って、言葉にうねりがあるなあ。
盛り上がり、そして引いて行く。
日本語の詩は、心の中でどならないといけない。
言葉をなぞるだけでは、感性は再現されない。
だから、変に抑揚をつけて、思い入れを一杯に入れて。
日本人の朗読家は、それゆえに凄いとも言える。
古くは徳川夢声、芥川隆行、少し前になくなった城達也。
森繁久弥さんも未だにNHKのラジオドラマで朗読などをやっているが、これはやや見苦しい。
世阿弥の「家伝書」にもあったと思うが、「時分の花」というのがある。
一番良い時に一番いい花が咲くのである。
今の森繁さんは、もう演技者としては老いらくの木である。
退け時を知ることも大事ではあるまいか。
元の話に戻す。
陽はまた昇る、というとヘミングウェイ。
The Sun Also Risesというのが原題。
つまりは、何があっても皆、挫けずに頑張ろうぜ!ということかな。
昨日は暗いことばかり書いたので、今日は精一杯明るく書こうと思ったのだが、無理矢理だったかも。
幸せですか?と聞かれて幸せです、と答えられる人、日本では過半数は確実にいるのではないだろうか、日本はまだとてもイイ国なんでしょう、安部邦雄