実質的に経営者になって8年。
経営者って、本当に心が休まる時がないと実感した。
会社の業績をあげる為には、仕事をとらないといけない。
その為には、人を雇わないといけない。
人と同時に仕事場の拡張もしないといけないし、新しい機材も導入しないといけない。
それで、売上が上がる間はいい。
どんな理由で、会社の業績が落ちるかわからない。
今のクライアントは永遠のクライアントではない。
しかし、今の負債はほっておけば永遠の負債である。
山あり、谷あり、心の休まるヒマがない。
仕事場を離れても、30%は会社の前途を考えている。
もし、ああなったらどうしよう、こうなったらどうしよう。
こんな不安定な状況、いつまで続くのか、と思ってしまう。
大会社となると、経営者はもっと大変だろう。
ただし、サラリーマン重役みたいな香具師には全く関係のない話だが。
NHKなどのドキュメンタリーで、資金繰りに苦労する社長が頻繁に出て来る。
みんな、表情は必死である。
会社を整理すると決めた社長となると、おそらく毎晩あまり眠れていないだろうという顔をしている。
己の運命を呪う気にもなるだろう。
先祖が苦労しながら築き上げた会社を、オレの代で潰すのか。
先祖に申し訳ない。
テレビを見る私も、他人事ではおれない。
明日は我が身とため息が出て来る。
サラリーマン時代には、こんなヒヤヒヤした気分は全くなかった。
会社が潰れて路頭に迷うのはいやだが、それでも、まあ私に限ってそんな目にはあうまい、と思っていたような気がする。
私の兄が勤めていた会社は実質的に倒産した。
経営陣は一斉に退陣し、今はオーナー変更ということで、再生の道を歩んでいる。
幸い、兄はそのままの待遇で同じ場所にいる。
家のローンもあるし、精神的には辛かっただろうが、それでも経営陣よりはましだったろう。
大企業の社長が、失格者の烙印をおされ、後はほそぼそと生きて行くしかないのだ。
さぞ、辛いことだろうと思う。
何で、こんな目にあわないといけないのか。
山一証券の社員は悪くないと言った社長も、大変だったろう。
今も、ことあるごとにニュース映像として、あの泣き顔が映り、ぶざまな社長の姿を曝している。
何たる人生の終わりだろうか。
薄氷の張る湖を、ヒヤヒヤしながら渡る私。
どこで、割れるのか見当もつかないが、ここまで来た以上、渡り続けるしか道はない。
サラリーマンが岸でこちらを見ている。
おそらく、氷が割れて落ちたら面白いだろうなと思っていることだろう。
くそ、オレは絶対落ちないぞ。
オレは、どんなことがあっても平気だぞ。
オレは、負けへん、負けたらアカンのや。(って、オレは草魂の鈴木か?)
もう少しマシな経営論を書こうと思ったが、今は自分の感性に引っぱられ気味、落ち着いたらそんな話もしたいものです、安部邦雄