さて、眉村卓さんが同じようなエッセイをどこかに発表していたら嫌だなと思いつつ、今日は火星大接近の話を。
何しろ、眉村さんの方が詳しいに決まっているし。
8/27、火星が地球に大接近した話は、マスコミに死ぬほど告知され、ニュースでも映像が紹介されていたから知らない人は少ないだろう。
この機会を逃すまいと、望遠鏡や双眼鏡が品切れになるほど売れたらしい。
ついでに火星儀も注文に応じられないほど需要があったという。
火星儀なんか買ってどうするんだと思うが、やはりトレンドに敏感な人は手に入れたいのであろう。
ただ、今回の火星大接近、素人にとってそんなに興奮するようなことだったろうか。
望遠鏡で覗いて、何か見えますか?
ぼんやりした赤い星が見えるだけでは。
倍率が高くて、空気中にチリが少なければ、極冠とか、少し前まで運河と呼ばれた線模様が見えるかもしれませんが、そんなの別に今年でなくても見えます。
早い話、ミレニアム的に近づくのは事実ですが、だからと言ってちゃっちい望遠鏡で何が見えると言うのでしょう。
月みたいに、クレーターが見えるとか、アポロ11が立てた
星条旗が見える(見えるか!)とかならいざしらず。
望遠鏡初めて買って、それで火星観測なんて、よほどの天体マニアでない限り面白くない。
木星だったら、縞模様は見えるし、4個のガリレオ衛星もハッキリ見える。
土星なら、スジの入った輪が何となく見える。
火星なんか、何もない。
フォボスとダイモスという二個の衛星があるが、月みたいに大きくない。
だから、アマチュアごときの望遠鏡では絶対に見えない。
自慢じゃないが、私だって見たことがない。(自慢?だから自慢じゃないと言ってるやん)
つまり、地味な星なんです、火星は。
確かに、大接近が終った今も、真夜中頃になると赤い火を放つかのように、小さく燃えています。
マイナス2等星以上かな、つまり大犬座のシリウスより明るい。(金星にはかなわないが)
不吉な星で、大接近する年には異変が起こると言われているが、確かに妖しい赤い光の星である。
とはいえ、今の都会の空ではこれぐらいの明るさだと大して目立たないと言っていい。
もっと明るいものは、そのあたりに一杯ある。
昔は不吉の前兆だったかもしれないが、今やそんな星あったっけという存在だ。
天の川が全く見えない空に、火星がどうのこうのと言ってもねえ。
大体、現代人、星座占いなんて大流行りだが、その星座がどこにあるのかわかっているのだろうか。
水瓶座とか魚座なんて、見えないよー。
山羊座、蟹座、天秤座、見れるもんなら見てみろーって感じ。
そんな見たことのない星座の占いなんて、何を根拠に信じるかなあ。
何か、今日の更新は単なるぼやきになりつつある。
昨日の最後に書いたけど、子供の頃、星に目覚めた私のような天体フリークは、今回のような火星大接近なんて、マスコミのつまらん煽りにしか思えなかったはずだ。
そんなもの、煽ってどないするの?
にわか天体ファンなんて、私なんかには邪魔なだけだ。
ハレーすい星の時とか、獅子座流星群、ペルセウス座流星群の時、何かやたらあちこちにいて、せっかくのビューポイントを占領するのが腹立たしくてしかたがない。
おまえら、何もわかってへんやんけ。
てなわけで、そんな連中に背を向けて、私はいつも寝てしまう。
何か、口惜しい、本当は。
いいもん、どっか南の静かな島に行って、空を全部オレが一人占めしてやるもんね、いつか。
誰にも邪魔なんかさせてやるもんか。
現代人に天の川を返せ!満天の星を返せ!という運動をいつか起こしたいと思うのだが、さていつになることやら、安部邦雄