代々木の事務所にいて、これを書いている。
窓の外、霧で何も見えない。
本来、新宿の高層ビルの夜景が目にも鮮やかなのに、何と真っ暗。
こんな情景、映画で見たことがある。
小松左京の『首都消滅』という映画だ。
首都東京の上空を雲が覆い、連絡がとれなくなり、日本がパニックに陥るというSF映画。
東京のテレビ局からの番組が来なくなり、すべて大阪の準キー局(映画では関西テレビ)が中心になってニュースを流していた。
大阪の局の人間が、ここぞとばかり張り切っていたのを思い出す。
1987年の東宝映画。
自慢じゃないが、自分の金を出してわざわざ見に行った。
SFおたくなら当然のことかもしれないが。
東京の機能が麻痺したらどうなるか、政治はまず機能しない。
外交もだめ、経済もしばらくは動かないだろう。
株式市場も、大証だけでは全部の機能はバックアップできない。
でも、それぐらいのショック療法はあってもいいかも。
東京がなくても、大阪があれば何とか日本は持つ。
いわゆる二眼レフ論である。
コンピュータの中央サーバも、大阪にバックアップを置くという話はよく聞く。
前は、関東大震災(東海大震災)に備えて、大阪にバックアップを置くという話がされていたものだが、今はどうなのだろう。
コンピュータのサーバは、今や東京とか大阪という大都市にある必要はさすがになくなっているけれども。
等と書いているうちに、ますます霧が濃くなっている。
さっきまで見えていた、文化服装学院のビルも見えなくなってしまった。
そう、あの篠原ともえがついこの間まで通っていた学校である。
コシノ姉妹も通っていたと言う、伝統ある文化服装学院の校舎。
今は、全く見えない。
正直、こんな風景を見るのは、代々木に移って10年、初めてみたような気がする。
このまま首都は消滅?
何か、それも日本にとってはよいことのような気がしないでもない。
首都が消滅すると同時に私も消滅するかもしれないと思うとちょっとイヤだが、東京って一度潰してしまった方がいいのではないか。
誰も東京を潰さないのなら、私が東京をぶっつぶす。
ああ、そんなでかい口を一度は叩いてみたいものだ。
わあ?、ますます何にも見えないよう?。
今日は銀座へ行って打ち合わせ、その後原宿のファッション街で業界人とイベント企画の立案、終って渋谷の某飲み屋で打ち上げ、まるで東京人そのもののライフスタイル、でも一寸先は闇、安部邦雄