今日は大阪に来ている。
あるイベントのロケハンで、動物園前のフェスティバルゲートに来たのだ。
フェスティバルゲートは6年前にできたアミューズメント施設。
ビルの中をジェットコースターが通り抜けると言うのが売りだったらしい。
今日は平日で、実に閑散としていた。
「千と千尋の神隠し」で描かれた昼間の温泉街のようなうらさびしさまで感じたりした。
「ここにアウトドアのショップがあったんですが、出て行ってしまいました。この近くには本物のアウトドアの人が一杯いますからね。」
冗談のように、案内してくれた人がいった。
やはり、USJの出現がこたえて、客足も遠のき気味らしい。
ところで、先ほどの本物アウトドアの人って、おわかりだろうか。
フェスティバルゲートの正面にはJRの新今宮駅があり、線路を隔てた向こうには、あいりん地区、別名釜ケ崎があるのだ。
それゆえ、付近には仕事にあぶれたといういでたちの人でいっぱいなのだ。
実は、ここへ来るまで私は釜ケ崎のことなど全く忘れていた。
ロケハンが終わり、スタッフと別れて私は南海電車の新今宮駅を目指して歩いた、そしてそこが釜ケ崎であることに気づいた次第なのだ。
何か、ホームレスの家が多いなあ。
昼間から酒飲んでいるオッサンが一杯いるなあ。
あれ、こんな所にホテルが。
何々、1泊800円?
女の人も安心して泊まれます、1泊2000円?
屋上展望風呂あり?
うわあ、ドヤ街やんけ!
思い出した、ここは釜ケ崎や!やばー!
そうだ、簡易宿泊所、別名ドヤがずらーとならんでいるのだ。
ここは気を抜いて歩いていてはいけなかったのだ。
昔の記憶が蘇った。
こんなところを、ぶらぶら歩いているなんて正気の沙汰ではない。
大学時代、このあたりは何度か来た。
ここには詩人の東淵修さんが古本屋さんを営んでおり、そこを拠点に「銀河詩手帖」という同人誌を出していた。
私にも、詩を寄稿したらというお誘いを何度か受けたものだった。
今は、同人の皆さんはどうしているのだろう?
東淵修さんは、今どうしておられるのだろう。
30年も前のことだ。
古本屋がどこにあったのかもわからなってしまっている。
釜ケ崎暴動というのも昔はあった。
今は、無気力で酒浸りの年とった労務者(?)がうろつくばかり。
ここには、昔のようなエネルギーはもう感じられない。
あ、もう時間がない、中途半端だけど、今日の更新はこのくらいで。
前は平気だったのに、今はさすがにちょっと街を歩くのはビビってしまう、安部邦雄