ふと気がつくと、今年もあと2ヶ月あまりとなった。
あっけなく2000年を迎え、あっけなく21世紀になった。
2002年になり、2003年になり、まもなく2004年。
これらは、私にとってすべて50代の年だ。
昔、50才になったら21世紀なんだなとよく思った。
遠い未来、そんな時代が本当に来るのかと思ったりした。
しかし、現実に追われている内に、新しい人生に翻弄されている内に、私は年を重ね、いつのまにか50代。
「悲しき60才」という歌を思い出す。
坂本九とパラダイスキングのヒット曲。
原題は「ヤー・ムスターファ」、1960年頃のヨーロッパでヒットしたトルコの曲らしい。
それを青島幸男さんが歌詞をつけた。
見初めた彼女は奴隷だった。
ムスターファは金がないので、彼女を身請けすることもできない。
一念発起、彼は一生懸命働いた。
やがて、努力は実り彼は金持になった。
でも、その時、彼ははたと気づいた。
自分はもう60才になってしまったのだと。
ああ、時のたつのを忘れてしまっていた。
哀れな男、ムスターファ。
何て歌詞なんだろう。
夢も希望もない。
でも、人生にはそんな悲劇、ありそうな気がする。
若い頃、金がないので一生懸命働き、年をとったら遊んで暮らそうと思っている。
ところが、実際に年をとった時、昔のように楽しむ体力を失っていることに気づく。
もっと若い間に、遊んでおけば良かった。
年をとってしまってからじゃ、思ったように遊べない。
これが、私が望んだ人生だったのか。
私もまた、今危うい人生を選んでいるといえる。
ボウルに一杯水をため、それを持って毎日走っている。
こんな人生いつまで続くのか。
ボウルに水がなくなった時、おそらく私は悲しき60才となっていることだろう。
夢もチボーもないよなあ。
最近、少し気を張り過ぎているのが気になる、こんな仕事のやり方していたらもたないのではと心配だ、ボウルの水は当分なくなりそうにもないし、安部邦雄