ふと、誰かに聞きたくなる。
貴方が幸せだった時はいつ?
私の親の世代に聞くと、一番幸せなのは今だと言うかもしれない。
なにしろ、青春時代は戦争の真最中。
兵隊にかり出され、中国の原野を東も西もわからず行軍していた。
そんな時代が幸せなわけはない。
団塊の世代、つまり私もそのひとり。
幸せだったのは、いつだろう。
少なくとも今ではないような気がする。
中学校や、高校の時も、今ほど自由を謳歌していた印象はない。
身体はとても元気だったけど、心は色々なものに傷つき、怯えたりしていた。
どうしていいのかわからない、頼るものがない時代だったのかもしれない。
私の青春時代、記憶の中ではあまり色がついていない。
テレビがカラーテレビでなかったように、私の青春も白黒の世界でしか記憶をたどれない。
色つきの女でいてくれよ。
ジュリーの歌にそんなフレーズが。
それで行くなら、私は色なしの男だったということか。
千と千尋には顔なし、私の記憶には色なしの男がいるわけだ。
今が一番幸せ、いつもそう言える人が、世界で一番幸せなのかもしれない。
お金がなくても、持ち家がなくても、嫁がいなくても、精一杯に生きている今が、一番幸せだ。
あなたが幸せだった時はいつ?
で、今は幸せですか?
精一杯生きるというのは、本当はあまり幸せじゃないような気がする、人生7割ぐらいの力で、マイペースで生きるのが幸せだ、残りの3割は自分の余裕に置いておきましょう、安部邦雄