貸本屋の倅が書いた本「貸本屋のぼくはマンガに夢中だった」(長谷川裕著 草思社)を読んでいる。
私と同い年。
そこに描かれる世界は、ほとんど私が辿った道である。
私も、貸本屋に通った口である。
借りるのは、月刊の少年誌やマンガの単行本だった。
今の人がレンタルCD屋に通うように、私は毎日のように貸本屋に通ったものだ。
ところで、今や消えてしまったと思っていた貸本屋、細々ではあるがまだ商売しているところがあるらしい。
へえ?、貸本屋なんてまだ商売になるんだ?。
初めに紹介した長谷川氏のお姉さんが、池尻大橋で経営赤字に苦しみながら商売をしているという。
ホームページを開いていたので、お邪魔してみた。
本を貸してもらうには、まず入会する。
入会金300円(安ー!)
料金は以下の通り。
マンガ......... 70?200円/1泊2日
小説............150?450円/1週間
月間誌.........150?250円/2泊3日
うーん、微妙な価格だなあ。
ビデオ借りるのと、値段的にはあまり変わらないというか。
何度も書いていると思うが、私は、本は専ら図書館から借りている。
歩いて3分、駅へ行く道の途中にあるのだから実に気軽に使うことができる。
昔は、本をやたらと買い込んだものだが、今では邪魔になるし、インターネットで情報が得られるようになったため、本をそばに置いておく必要がなくなった。
図書館で充分なのである。
ただ、ベストセラーの類は、予約しておいてもなかなか順番が回って来ない。
2?3ヶ月、どうしてもタイムラグができる。
そういう時、貸本屋があれば確かに便利だ。
新本が200円前後で読めるなら、結構なことだと思う。
だが、おそらく店としては儲からないだろうな、と同情したくなる。
昔ほど、本を借りたい客はいないだろう。
一冊の本が20回ぐらい回らないと、利益は出ないだろう。
果たして、そんなに客がついているのだろうか。
最近、貸しレコード屋も、一時ほど客がいないのではないかと思ったりする。
買いたいレコードがないという人が多いらしいが、おそらく借りたいレコードもそれほどないに違いない。
買いたいレコード=借りたいレコードのはず。
しかも、ファイル交換ソフトが普及し始めて、ただ聞きたいぐらいの音楽は、無料で手に入る。
貸しレコード屋がはやるわけがないのだ。
かっての貸本屋が衰退して行ったように、レンタルCDも衰退して行くのかもしれない。
そういえば、最近レンタルCD屋さん、見かけなくなったねえと、10年後の人たちが言っているような気もする。
青春の中で、一時期私の心を満たしてくれた貸本屋。
ちょっと、懐かしくなって今日は書いてみました。
映画のイベントにまだ振り回されています、そろそろ区切りをつけて次のプロジェクトにかかりたいと思うのだが、うまくいかない、安部邦雄