母さん、ぼくの麦わら帽子 どこへ行ってしまったのでしょうね?
迷いの中に自分の場所を追い求めた青春時代、それでも私の夏はやけに眩しく、ぎらついていた。
今は、そんな眩しさは疎ましいだけだ。
モノトーンの、凛とした静謐が、心にじんとしみてくる。
失ったものと 得たもの。
どちらが多いのか、今ではわからなくなってしまった。
シュトルム ウント ドランク
そんな言葉を久しぶりに思い出している。
疾風怒濤の時代、濁流と渦巻く瀬に、自分の居場所が見い出せなかった
あの夏の日々
躍動感溢れる、青春の光の中に 私たちは時として死の影を見たりしたものだ。
私たちは 今その影を見つめている。
消え行くもの達の影を じっと脳裡に焼きつけている。
もう夏ではない。
抗えぬこの寂寥感を埋めるものは、今の世界にはない。
2日続けて、魂が詩人化してしまった、辛い人生を忘れたい時、人はしばしば酒に酔い、言葉に酔うのだ、つまり今の私は言葉の酔っ払いということになるのかな、安部邦雄