閉塞感なんて言葉があるが、早い話、逃げ場がないという感覚だろうか。
社会が、少しずつ人を狭い空間へと押し込んで行く。
そこで、希望を人は求めるわけだが、そこには何もないというか、なんというか。
借金取りに追われている人が多い。
私の周りにも相当数いる。
借金踏み倒すのが男の甲斐性なんて豪語するやつもいるが、本心ではないだろう。
借金取りに追われるなんて、みっともないことこの上ない。
だが、社会が彼をそういう形で追い詰めたのである。
借金王だと言って、カッコつけるバカがいるが、人間として尊敬されると思っているのだろうか。
借金なんてなあ、返すものじゃないんだよ。
借金自体が、おれの財産でもあるんだから。
これは、一経営者としてわからないでもない。
会社の資本金なんてのも、本質的には借金と大して変わらない。
返す必要があるかないかだけの違いだ。
ただ、返さなくともよいが、利益を出して配当する義務が経営者には生じる。
そんな義務なんか知るかという奴もいるだろうが、それは借金を踏み倒す奴と何ら変わらない。
借金できるのも、オレの甲斐性だと言うのは正しい。
要は、借金に値する人間であるかどうか。
逃げ回っている連中、気持ちはわかるが無責任すぎやしないか。
そういえば、歌舞伎の市川団十郎(市川新之助の親父)が義父の連帯保証人になって19億円の借金をかぶる、なんて記事が女性週刊誌に出ていた。
歌舞伎役者だから、すぐに借金ぐらい返せますよなんてコメントしていた女子アナがいたが、おいおい、簡単に言うなとテレビに突っ込んでしまった。
個人として19億背負ったとしたら、そう簡単に返せないぜ。
そりゃ、脱税する気でいるなら別だが、正規で19億返す為には、倍以上の収入がないといけない。
ま、精神的にはいくら歌舞伎役者で谷町が一杯いても辛いはずだ。
華やかに見えても逃げ場がないひとりだろう。
どこかで借金チャラにしてもらうか、墓まで借金持って行くしかない。
日本って、敗者復活がきかない国だとよく言う。
一度、汚名を着せられたら、一生ついてまわるものだ。
千昌夫さんなんか、よく我慢できているものだ。(達観するしか道がないが)
今の日本、世界と競争したり協調したりすることに疲れている面が否めない。
それが、閉塞感を国内に産み出しているのかもしれない。
グローバルなどと言われても、どうしていいのかわからない。
構造改革が必要だと言われても、自分は今までのような生き方をやめたくない。
団塊の世代を私は「逃込み世代」と指摘したと思うが、とにかく、今までのままで自分達だけは逃込みたいと願っている人の多いこと。
それが退職金だとか年金だとか、既得権だとかに繋がっている。
安全地帯に逃込みたい。
自分達はババをつかみたくない。
そう言いながら、どんどん自分達を逃げ場のないところへ追い込んで行くのだ。
今、欲しいのは希望なのである。
こうすれば、大丈夫、あなたはちゃんと生きて行けますよ、という希望なのだ。
小泉首相、あんたは希望を少しだけ国民に持たせてくれた。
でも、それは去年まで。
今のあなたは、単なる狼少年にすぎない。
わかったから、もう狼が来ても、叫ぶのはやめてくれ。
それぐらいのことは、自分でも判断できるのだから。
高速道路の無料化は今でも私にとっては希望に満ちたスローガンだ、高速道路ごとに無料の日とか作ってもらいたいなあ、特にアクアラインなんか是非、でも、それだとその日はめちゃめちゃ混むかもなあ、安部邦雄