懇意にしていた不動産屋に、先日久しぶりに会ってお話することに。
その人、ため息つきながら繰り返していた。
もう、この業界、全然ダメ。
どうしていいのかわからない。
売りに出される物件はあっても、買いに来る人はいない。
ビルの空室は増えるばかり、賃貸物件も高いものは出る人が目立つ。
こんなの初めて、下手すると不動産不況が本格化するのはこれからかも。
ダメだという気持ちはよくわかる。
とにかく経済の根本的な問題として金がまわらない。
銀行は金を貸さない。
借金返済も滞りがち。
もう、勝手にしろという気分だろう。
私の住んでいるところは14世帯が入る、オシャレな低層住宅なのだが、この間まで2軒がずっと空いていた。
やっと埋まったなと思ったら、今年に入ってまた2軒出て行った。
おそらく、このまま4月ぐらいまで空いたままだろう。
今や、そう簡単には借り手も見つからないようだ。
浜田山の駅のそばに、デザイナーズ住宅とうたった4軒の家が売りに出た。
線路沿いだが、騒音はそれほどでもなく、駅まで3分だから便利な方である。
ところが、売りに出てから半年(昨年の夏頃完成)、どれも売れた気配がない。
最初の頃は、土日に係員が暇そうに椅子に座っていたが、最近はほったらかし。
無理ない、値段が7300万円だ。
諸々の費用を考えると8000万円ぐらい必要になる。
1軒あたり、ついてる土地も20坪程度で、8000万だったらちょっと買うには躊躇する。
何故、こんな値段なのかというと、この土地、10年以上ほったらかされてきた場所なのだ。
駐車場にしても、半分ぐらいしか埋まらない。
曰く付きの土地らしく、誰も手出ししないという感じだった。
そこに、誰かが思いきって家を立て、それを売りに出したということのようだ。
しかしなあ、同じようなものなら近くに5000万円台で売りに出している。
7000万じゃ無理だろうと思っていたら、案の定というわけだ。
ほったらかしていた分が、売り値にオンされているのかもしれないが、そんなの買う方は知ったことじゃない。
裏でも値引きをしているようだが、それでも5000万台とは行かないだろう。
ピカピカした家は、しばらくこのまま放置されるのだろうか。
何か、過去の住宅公団の失敗を見ているかのようである。
それでも億ションは売れているみたいで、持っている人は持っているのだろう、だが、一部の金持だけでは不動産業界は動かない、本当にほとんどの人の可処分所得は減る一方だ、私なんかもそらもう悲惨でおますわ、安部邦雄