ミュージカルのプロデューサーをやっていたから、歌のオーディションというのは何度かやっている。
昨日、いしだあゆみ役の上原多香子は下手くそと書いたが、おそらく彼女の役はオーディションなしの決め打ちだったのだろう。
審査員だったら、彼女の歌唱力でいしだあゆみはマネできないと思ったはずだ。
アイドル上がりの女の子は、オーディションには必ず落ちると思った方がいい。
アイドルは、可愛らしさが勝負だが、本格的な歌手となると実力がなければどうしようもない。
私も、色々とプロダクションに頼まれ、アイドル上がりの子をオーディションに参加させたが、正直、その子が可哀想でならなかった。
オーディションに来るような子は、半分以上は本当に歌がうまい。
ピアノ伴奏で歌っても、アカペラでも、全く音がぶれない。
アイドル上がりの子は、ぶれまくり。
聞いちゃおれんのだ。
ミュージカルになると、演技はいるわ、踊りはできないといけないわ、生半可なオーディションではない。
ずっと戸惑っているだけの女の子。
二度とオーディションなんか受けたくないと思っただろうな。(自分の実力を思い知らせる為にオーディションを受けさせていたマネージャーもいたが)
サウンドオブミュージックのマリア役をやりましたという女の子がいた。
期待してオーディションに来てもらったが、歌は中途半端、踊りはできない、演技は今一つ。
一体、どこの国でサウンドオブミュージックを上演したんだと思った。
ま、日本のミュージカルなんて、アイドルを主役にしている間はレベルなんて高いはずがない。
劇団四季でも、欧米と比べれば大したことないが、それでもアイドル出演のそれとは比べ物にならないほどうまい。
東宝ミュージカルというのも、主役は宝塚出身の人が多いのでまあまあだが、決してレベルは高いとはいえない。
劇団四季みたいなことはできないのかな、といつも思う。
しかしねえ、オーディションって、出る方も大変だが、審査する方がもっと大変だよ。
200人から300人ぐらいの応募者を見ないといけない。
朝から晩迄、ずっと見続ける。
疲れるなんてものじゃない。
プロデューサーなんか、見てもわからんからパスしますわ、と言って席外そうと何度思ったことか。
ま、そんなことが許されるはずもないのだが。
でも、オーディションを受けに来ている人は、自分の人生をかけているわけだから、こちらも真剣に受けとめないといけない。
今日もどこかで幾つかのオーディションが行われていることだろう。
ご苦労様というしかない。
赤毛のアンのオーディションに、売り出し始めた頃の鈴木蘭々が来ていた、実にユニークで私は気に入ったのだがあまりアンのイメージでなかったのが残念だった、ピーターパンならよかったのに、安部邦雄