ネットに書かれていたことに腹を立て、友人を殺害した女の子。
カッターナイフで咽を切るなんて、よくそんな非道なことができるものだ。
逆上していたということか、そういう目にあわさないと怒りが静まらなかったのか。
やりすぎとしか言い様がないが、しかしネットというのは恐ろしいものだということを実感する。
掲示板とかチャットとか、人を逆上させるような文章が溢れている。
怨念とか被害妄想とか嗜虐趣味とか。
前にも書いたが、十分いじめの手段になりうるのがネットである。
誰かが、ある人を標的にし、誹謗中傷を始める。
それに共感する人が多ければ多い程、ネットの中で増幅され、言葉の暴力となって標的を責めたてる。
飽きるまでやめない。
相手が倒れるまでやめない。
土下座して、心の底から謝らないと責めはとまらないと彼等は言う。
死んだらいい気味、かもしれない。
掲示板が話題になりはじめたころ、そう、まだ2chも存在していなかったころだから、97,8年ごろか。
最初は、新しいコミュニケーションツールとして重宝がられた。
同好の士の集まりでの会話というか、みんなが新鮮に情報を交換できる場だったといえる。
そのうち、みんなが仲良く話をしているのを嫉妬する奴があらわれる。
仲間に入れてもらえないと言うか、発言の中味に集団の空気を乱すものがあったりしたため、相手にされなくなった奴でもある。
そこで、みんなの発言を妨害しはじめる。
俗に「あらし」という存在だ。
同じ文章を何回もコピペ。
悪口雑言、誹謗中傷のオンパレード。
掲示板は傷付き、集まっていたものも無気力感にさいなまれる。
それでも、掲示板はこの苦難を乗り越え、さらに発展、その中から2chがうまれてきた。
嘘を嘘と見抜けない連中は、ネットの世界には住めないと主宰者は言っていた。
他人の誹謗中傷を、全身で受け止めてしまうタイプの人間も、ネットの世界には向いていないのだろう。
そんなの勝手に言っているんだから、ほっとけよ。
だが、気になる人にとっては、決してほっとけないことでもある。
架空請求に騙されてしまう人がいるのも、ネットの潜在的恐怖ゆえだ。
人はそんなに強くない。
姿が見えない相手からの攻撃に対処する術など、学校では教えていないし、家庭でも身につかない。
面白いからといって、のめり込み、そして精神的に傷がつき、挙げ句の果てには刃傷沙汰。
これって、子供たちだけの問題ではない。
大人のほとんども、いつその恐怖がふりかかってこないとも限らないのだ。
子供だから起きた事件ではない、それだけは意識しておこう。
ご油断召さるな、皆の衆。
誰かがどこかで自分の悪口を言っているというのは怖いものだ、しかもそれが極めてハレンチな内容だったり、反社会的なものであったり、自分がコンプレックスを抱いていたりしたものだったら、心の傷はさらに深くなる、人間は本当に弱い存在だ、そうは思いませんか?安部邦雄