街を歩いていると、造成された空き地に「好評分譲中」という旗がひらめいていた。
旗もやや古ぼけていると言う印象、おそらく長い間そこにあったのだろう。
つまり、好評分譲中の、<好評>には疑問ありというところか。
好評なら、とっくの昔に売れていないといけない。
つまり、好評分譲中というのは、あまり売れていないという意味でもあるのだ。
変な話だが、本当に好評なら既に売れているはずで、さすればこんな旗を置く必要もないし、そんな文言なども無用なはず。
好評発売中という文言は、結局、あまり売れていない時に使うとしか言い様がないのだ。
他にも絶賛発売中というのもある。
ラジオのスポットなどでよく聞かれるだろう。
誰某の待望のコンサート、いよいよ開始迫る、チケットはプレイガイド(古い?)で絶賛発売中、良い席はお早めに。
誰が待望しているのだ、日にちが迫っているのにまだチケット残っているの?
どこが絶賛なんだかねえ。
最後の良い席はお早めにって、そんな席までまだ残っているのが何ともはや。
スマップのコンサートなんて、一般までチケットが回ってこないぐらいの絶賛ぶり。
しかし、どこからも絶賛発売中なんて言葉は聞こえてこない。
発売してもすぐなくなるのだから、言う必要がないということか。
私どもが10年ぐらい前に製作した、美輪明宏さんの「黒蜥蜴」。
売り出した途端にあっという間に売り切れた。
その後、関係者の方からチケットを何とかしてくれと要望が殺到。
無い袖は振れず、かといって追加公演はできずという状況。
しかたがないので、ゲネプロ(本番と全く同じ通し稽古)を急遽、招待公演に切り替えたということがあった。
これなんか、本当に好評販売ということだろう。
ちなみに、その後製作したミュージカル「赤毛のアン」は毎回チケットは好評発売中。
最後は大赤字という悲しい結末が待っていました。
テレビのコマーシャルって、元々それほど買いたいと思っていない視聴者に、映像や言葉、音楽を使って、無理矢理おしつけてしまう技の極致なのではないだろうか、マインドコントロールとどこが違うのだろう、全く、安部邦雄