誰が見ても夏本番。
この蒸し暑さ、熱帯夜、いい加減に梅雨は明けましたと言った方がいいのでは。
確かに、天候は不安定で、いつ何時梅雨が出し抜けに帰ってくるかもわからない。
何や、おまえらワシがもう帰ったとでも思とったんか。
悪態ついて、さらに多くの雨を降らすかもしれない。
ここはひとつ、思っていても我慢我慢。
一種の言霊信仰ですね。
言葉を口に出した時、かえって災いが起きかねないというか。
ゲンの悪いことを言うと、悪鬼がやってくるという土着信仰。
子供の頃よく言われた、そんなことをしたら罰(バチ)が当たるというのも同じ趣旨。
梅雨はどこへ行ったなどと言い過ぎると、あっという間に梅雨の真只中みたいなことになる。
気象庁が「今日、梅雨に入りました」と宣言したら、途端に次の日からお天気続きなんてこともよくありそうだ。
予報士はよほどのことがない限り、断定しない方がいいということになる。
断定=言霊の発生というメカニズム。
とはいえ、梅雨入りしたと言ったから、天気になりやすいというわけではない。
梅雨入り宣言→お天気続くという現象は、印象に残りやすいだけである。
10回宣言して、2?3回外れれば、印象に残る分、毎度起こっているのではと錯覚しやすいだけだ。
予言があたるとか、虫の知らせとかもほとんどがこのパターン。
予言があたらなかった、そんな気がして不安だったが何も起こらなかったとしたら、予言したことも不安だったことも記憶から消える。
あたった時、何かが起きた時、それは印象に残り、予言も虫の知らせも存在するのだと信じてしまうのが人間である。
マジックなんていうのも、こういう人間心理をつくものが多い。
人間の心なんて、その気になればいくらでも操れるものだ。
しかも本人が全く気づかないうちにである。
こんな話をすると、私も偉そうなことは言えないなと思ってしまう、勝手に妄想して自分を雁字搦めにしていることの多さ、男女の仲なんてその典型でもある、自分ではどうしようもできないが、安部邦雄