夕刻、少しの風の通るところに、身を横たえてしばし眠る。
疲れが身体の中から、泡のように沸き上がって来る。
泡はひととき、皮膚のまわりにまつわり、風とともに空に消える。
重いものが、束の間軽くなり、その軽さゆえか、想いをが自由に駆け巡り始める。
それは今という時か、昔の悲しき思い出か。
ここにあるも私。
生きる術なき虫けらも私。
思い悩むこともしばし忘れ、夢のたゆたう世界にひとりかもねむ。
命長ければ恥多し、だが、その恥すら老いはその意識をあいまいにする、毎日が修羅場、毎日が深淵にかけられた夢の架け橋、安部邦雄