まもなく今日も終わり。
外は雨が降っている。
身体が疲れていたのだろうか、先ほどまで寝てしまった。
夢を見ていた。
私は新しい部屋に引っ越していた。
やや古ぼけた団地のようで、振り返ると自分が今まで住んでいた部屋があった。
そうだ、私はもう引っ越してしまったのだ、と寂しい気分。
空家になった部屋がベランダ越しに見えている。
事務所の引っ越し、家の引っ越し、そして今までずっと大事に保管していたものを次から次と捨てた。
捨てなければ次に行けない。
夢からさめ、パソコンに向かう。
次に捨てるものは、一体なんだろう。
人は得たものを捨てることを躊躇する、地位にしても、財産にしても、プライド、若さ、美しさ、もはやわが髪には白いものが混じり、皮膚がどんどん弛みはじめている、捨てるものは捨てる、人生の最後は、どうせすべてを捨てることになるのだから、安部邦雄