京王井の頭線浜田山駅とJR阿佐ヶ谷駅を25分で結んでいるバスをすぎ丸という。
いわゆるコミュニティバスの一種で、料金も100円とリーズナブル。
事務所が中央線沿いに移転したので、余裕のある時はこちらを利用させてもらうことが多くなっている。
バス自体は杉並区が経営していて、1時間に4本運行されているのだが、乗車率はほぼ100%以上。
実際に儲かっているかどうかは知らないが、住民に歓迎されているバスではある。
杉並区には北と南に2本の鉄道が東西に走っている。
北は、JRの中央線。
荻窪とか阿佐ヶ谷とか高円寺などがある。
南は、京王井の頭線。
久我山、高井戸、私の住む浜田山、永福町などがある。
前者は、庶民の町、後者は山の手の雰囲気がある町である。
で、ついこの間までは、この南北の交通網が極めて貧弱だった。
杉並区とか世田谷区というのは、40年ぐらい前までは、ほとんど畑などの農地。
それを計画もなしにどんどん宅地化したため、まっすぐな道がほとんどない。
南北を結ぶのは、後に整備した環七、環八ぐらい。
そこには路線バスは走っているが、その間にある町は直接には全く行き来ができない状態だった。
とにかく、杉並区とか世田谷区、車を運転していて道に迷うこと等日常茶飯事である。
私の住む家の前も、8メートルぐらいある立派な道路なのだが、少し走るとあっという間に3メートルぐらいの狭い道になり、下手すると行き止まりになったりする。
1キロ先に出ようと思えば、何回か迂回路を通るしか方法がないという所。
窓からボーと眺めていると、迷いこんで四苦八苦している車が毎日必ず目に入る。
そりゃ、そうだろう。
こんな広い道だったら、絶対どこかの幹線に出ると思ってしまうはずだ。
東京にはまっすぐ走れる道が少ない。
地方の方は一応覚えておいた方がいいですよ。
さて、問題のすぎ丸だが、こんな悪い道路事情の中を敢然と毎日走り続けているわけだ。
私が自分の車を運転していても、あまり入りたくないぐらいの狭い道なのに、すぎ丸は迷いもなく突き進んで行く。
向こうから車が来たらどうするつもりだろうという場所も何ケ所もある。
「安全運転に心掛けています?」
何度も運転手さんは言う。
確かに安全運転だ。
ゆっくりゆっくり走るし、信号は黄色になったら停まるし、止まれの表示のところでは、バカ丁寧に右左を確認している。
のんびりしているというか、遅いというか。
でも、慣れるととても愛着がわいてくる。
こんな狭い道を、どんな悪条件(こら、こんな場所に駐車するな!)にも負けず、日夜戦い続けているのだ。
すぎ丸君、ごくろうさま、また明日も安全運転よろしくね。
長々と書いてしまった、電車とか飛行機のことばかりいつも取り上げていたので、たまにはバスも触れてみようと思って、でもやっぱり100円はうれしいな、安部邦雄