人絹、「じんけん」と読む。
人見絹江の愛称ではない。
人見絹江を知らない?
そうかもしれない、何しろ1928年のアムステルダム大会の800メートル、銀メダリストなのだから。
もちろん、オリンピックの話。
私だって、名前しか知らない。
で、人絹の話。
昨日、スフの話をしたが、これも人絹、人造絹糸のひとつである。
人絹の歴史を書いたサイトから以下引用する。
戦争前後の世代の人達には、人絹という名前を記憶しておられる方もおられるだろうが、正式名称は人造絹糸であり、Artificial Silkの直訳である。
天然の木材から取るパルプを原料として、化学的処理を施して後繊維にしたから、化学繊維とか再生繊維とも呼ばれる。
わかったようでわからない定義である。
ただ、私の子供の頃は人絹といえば粗悪品というイメージでしかなかった。
戦後石油製品が一般化するにしたがって、人絹のほうが、はるかに丈夫になり耐久性もよくなった。
レーヨンとかテトロンとかゴアテックスとか、使用感は自然繊維をも上回るようになっている。
ま、繊維に対しては門外漢なので、この話はこれぐらいにしておこう。
繊維産業といえば、大阪の泉州がついこの間まで有名だった。
私にも岸和田に住んでいる友人がいるのだが、嫁さんの実家が隣にあり、そこは毛布の製造工場を経営していた。
周辺にはタオル工場とかも多く、さすがに全国一の生産量を誇る泉州だなあと思っていたが、今やその時の繁栄ぶりはどこにも見られない。
ニチボウ貝塚の女子バレーボールが東洋の魔女とよばれた日は恩讐の彼方というところか。
ちなみに、私の友人の義父も工場経営を諦めたという。
大阪の繊維産業は、もう未来がないのだろうか。
残念なことではある。
東洋のマンチェスター、なんてせっかく子供の頃覚えたのになあ。
マンチェスター、リバプール♪
ビートルズ、リバプール、そしてマンチェスター。
子供の頃の香りが言葉の中から漏れてくる。
人絹もそうだし、スフもそうだし、昨日書いた香港シャツも。
今はどんな言葉からも、何も香りがしないような気がする。
それは私が老いたからか、それともデジタル化した言葉に、アナログ的な匂いを求めるのはもう無理ということかもしれない。
最近少し疲れ気味なので、精神的さなぎ状態になりたいなあと思っているところ、しばらくじっとしていて春になったら、硬い殻を破って、立派な蝶が生まれてくるのです!え?蝶じゃなくて蛾?う?ん、そうかも?安部邦雄