近くの住人がピアノを買ったようだ。
朝の8時ぐらいから、娘がポロポロ弾いている。
下手だから、いくつかの鍵盤を叩いたら、すぐそこで音が止まる。
不協和音がダーン!朝から気分が滅入る。ずっとこんな音を聞かせる気かよ。
唯一まともに弾けるのが、御存じ「猫ふんじゃった」。これだけは最後まで止まらないで弾けるようだ。
そう言えば、私の姉も辛うじて「猫ふんじゃった」だけは弾けた。これ見よがしに私に聞かせてくれたが、それでも幼い私は素直に感動したような記憶がある。
ところで、この「猫ふんじゃった」だけど、元々はなんて曲だったんだろう。
ちょっと検索エンジンで、と調べたら、おお!一杯ある。
で、原曲はというと、作者不明で、世界各国で色んな名前がついて愛されているそうだ。(ちなみにドイツでは「蚤のダンス」だそうです。)
日本では「猫ふんじゃった」という名前で童謡として扱われているとか。
詩をつけたのは、阪田寛夫さんだとか。本当かなー?
全部の歌詞が載っていたが、どう歌ってよいのかわからず。
覚えているのは、途中の部分で「ねこふーん!ねこふーん!ねこふーんじゃーたー!」というところぐらい。
姉が歌う姿が今も眼に浮かぶ。
私は女性がピアノを弾いている横で寝そべってボーとするのが大好きだ。
「次、何聞きたい」「うーん、ショパンのポロネーゼ」
返事もしないで、彼女はピアノに向かい、そして雨の日はショパンの調べが。(何のこっちゃ)
いいなあー、憧れるなー、誰か弾いてくれないかなー、その前に誰かうちに来てくれないかなー。
でもね、私の多くもない経験からいいますと、女性は決してこっちの思うようにはピアノは弾いてくれません。
自分の弾きたい曲を弾きたい時に弾くだけです。
男のために弾くこと等ほとんどありません。あっても、「あ、今日はうまく弾けない、やめ!」とか言ってピアノのふたをダーンと閉めてしまいます。
本当に気まぐれ、まるで猫のよう。
ああ、そうか、猫ふんじゃったって男の夢なんだな、きっと。「あ、ゴメン、痛かった?ううん、そんなつもりはなかったんだよ、痛かった?本当にゴメン、悪気はないよ、ほら、偶然、単なる偶然、痛かった?ねえ、痛かった?」
内心ザマーミロ。でも女、ずっと睨みっぱなし。
家に来てくれるなら私が踏まれてもいい、安部邦雄