はるかな尾瀬、遠い空、そんなものを私は思い出さない。
尾瀬は行ったことがない。今のところ行くつもりもない。
清里高原は一度行った。
尾瀬とは方向違いだが、何故か夏の感じは清里の方が私には強い。
軽井沢が一番避暑地らしいが、別荘もなく、軽井沢の街をぶらついていると、ただみじめになるだけ。
清里の話に戻る。
夏の日、タンデムカー(二人乗り自転車)を死ぬほどこいだ。
私は前。坂を登るのは前だときつい。
後ろは、まだまだ!とか、頑張れ!とか言っている。
「もっと強くこげよ!」と言い返す私。
きつい!きつすぎる!
後ろは、「これぐらいで何よ!」などと言う。
高台について休憩、何故私だけがこんなに辛いのだ。
考えたら、前は後ろの人間の体重も引っぱりあげないといけない。
こりゃ、きついはずだった。しかし、帰りは下りだけ。前でも後ろでも関係ない。
腹いせに、下りでは一切ブレーキをかけてやらなかった。
後ろは、怖い!怖い!といって、後ろのブレーキをかけるが前のブレーキをかけないため、スピードはあまり落ちない。
けっ!ざまあみろ。
青春のひとこまですね。
夏の思い出、といえば数々ありますが、今回はこんなところで。
「夏の友」という宿題が小学校の頃あった。国語の宿題だったと思うが、お前なんか友だちじゃないと、何度か「夏の友」に悪態をついた。
今では君も思い出という、僕の友だちだ。
夏の盆踊りの夜生まれ、安部邦雄