そうです、下手はうつります。気をつけましょう。
古谷三敏さんの「寄席芸人伝」に出て来ます。
落語は名人上手に習わないといけない。下手に習うと、肝心なところは習得できず、下手だけがうつるといいます。
名人の芸は普通盗むといいます。確かに教えてもらうのではなく、身体で名人芸を憶え込ますことが大事なのでしょう。
下手は形や形式ばかりにこだわって教えようとするのが問題なのでしょうね。
先述の寄席芸人伝では、若手のホープをいじめてやろうと先輩連がゴルフに誘う。若手落語家は、これも経験と思って承諾。次の日に練習場にいるバリバリのプロのところへゴルフを教えてと頼みにいく。驚くプロに「落語でも、下手なやつに習うと下手がうつるといって極力避ける。ゴルフも同じ。下手に習うのではなく、名人に習いたい。例え初歩からでも。」
プロは感心して、簡単にレッスン。
飲み込みの早い若手落語家、ついに先輩とのゴルフでドライバーの芯を打って大当たり。あきれる先輩連。さすが、有望な若手だ。芯を打つのが早い。」
あのう、この話、もう落ちてるんですけど・・・。
面白いでしょ?
放送業界でもこれはいえます。
下手な先輩ディレクターに習うと、カッコばかり受け継いでしまい、本質的な部分が抜け落ちてしまいます。
私も、それゆえあまり先輩から手取り足取りで教えられるのはいやでした。
むしろ、能力のありそうな先輩ディレクターのやっている仕事を見て、いいところだけ学ぼうと思ったものです。
今でも、能力のあるディレクターのいる会社では、新しい優秀なディレクターが育っています。
残念ながら、下手な人しかいないところでは、形ばかりの下手ばかりが育っています。
誤解を恐れずにいえば、コミュニティFMが番組的にだめなのは、この優秀な先輩がいないからです。
能力の落ちるディレクターしか、今のコミュニティでは雇えません。(ギャラが安い、環境劣悪で優秀な人材など来るはずもありません。)
そして、若い人に下手がうつります。
一度うつったら、治療するのは大変です。予防するに越したことはありません。
あるタレントさんの言葉が今も耳に残っています。
「ええか、安部ちゃん。この頃タレントの学校とかようあるやろ。あそこで偉そうに教えている講師な、何ぼ実績あるようなこと言うてても、それは昔の話や。今はどこからも仕事の話が来んから、講師なんかやってるんや。つまり、今の時代には受けてへん人や。今受けてへん人に習った生徒が受けると思うか?それやったら、そんな学校行かんと、今人気のタレントさんの弟子になった方がええやろ。学校があかんとはいわんけど、行くだけ損やで。」
そう、学校に行くと下手がうつるということなのだろう。金出して下手をうつされに行ってるなんて、実に馬鹿馬鹿しい話だ。
これに類似した話は芸能界に多いが、それを話してるとまだまだ長くなりそうなので、今回はこれぐらいでおけさ節。
Wヤングが懐かしい、安部邦雄