石原慎太郎「勝つ日本」(田原総一朗共著)を読んでいる。
その中で石原氏は、自民党のやり方を「金と人間関係でからめとっていくような政治手法」と書いている。
人間で一番弱いのが、この金と人間関係ということなのだろう。
8/5のこの欄で私は次のように書いた。
改革の断行は、従来の人間関係をぶちこわす!
自民党、いや保守政治の力の源泉は、この人間関係を維持するところにあったと言うべきなのだろう。
それゆえ、改革は絶対にマズイ。
自民党の支持基盤が、金の面と票の面で侵されるから改革はできないというのが、マスコミの論調だ。
私はそれに付け加えてもらいたい。
人間関係を維持するという、日本人の心性が一時的に広範囲に破壊される、それが自民党にとってマズイのだ。
これは他の党にとってもそうであろう。
労働組合の中でも同じような現象がおこるだろうし、宗教政党の中でも共産党の中でも、大なり小なり起こりうる現象である。
そこに生まれるのは、一つは年功序列制度の基盤の揺らぎである。
世代間の意識の差が、増幅して喧伝され、そこに対立が発生しはじめるだろう。
若者にとって、人間関係のほとんどがこれから作っていくものである。
しかし、大人にとっては、人間関係はもうほとんど出来上がった体制である。
傷つくのは、大多数の大人である。
この対立がどうなるのか、今のところ私に具体的なイメージはない。
企業の中で起きる、年功序列賃金の廃止。給与の年俸制への移行。SOHOなどによる社員の地域的分散化。アウトソーシングの活用による、一般管理費等の経費抑制。
リーマンなどという、サラリーマンを馬鹿にしたような用語も早晩消えるだろう。(パンピーなんて言葉も一般人を馬鹿にしていて嫌いな言葉だ。)
企業が重厚長大の夢を捨てていけるなら、今の日本のサラリーマンの形態はずいぶん変わるだろう。
長時間の通勤、ストレスだらけの満員電車。
人が移動しない限り、生産活動が維持できない時代は遠くない将来終末をつげる。
構造改革が始まれば、ドミノ倒しのように他のものも変わっていく。
今、当たり前のものが、あっという間に昔の遺物になりさがるに違いない。
それを恐ろしい時代と思うか、夢あふれる時代と思うか。
改革の痛みがあるとかないとか言う話ではもはやない。
その時代を迎える準備、貴方はできていますか?
OK!Here we go! 安部邦雄