今日は家来が全員夏休み。
ひとり、事務所の城を守る。頼りない守備隊である。今攻められたらひとたまりもない。
攻めるのと守るのとどちらが得意かという話がある。
攻撃は最大の防御なりという言葉を最大の根拠にして、攻めてばかりしている人がいる。
相手の防御が予期した以上だった場合、やがて攻める側の弾も尽き、後はぼろぼろにやられるだけ。
太平洋戦争での日本軍そのものだ。
概して、日本人気質には、この攻撃こそ最大の防御という手法が受けるようである。
防御なんかしていたらキリがないし、防御の方法を論議していたら議論百出でたいていまとまらない。
ここに防御の天才のようなリーダーがいたら、例えば真田昌幸(幸村の父)のような人物だが、そういうリーダーシップを発揮できる人物がいたら、議論百出しようと、最終的にはリーダーの意見でまとまるだろう。
しかし、たいていは彼のような天才はおらず、こんなことで論議しているより、攻めるだけ攻めてしまえ、そうしたら結論が早いなどと言い出す連中が出てくる。
論議より行動、なんて単細胞連中が我れ先に駆け出す。
こいつらの言うセリフはたいていこうだ。
「憶病者め、怖じ気付いたか!」
守ることは大事だ。ただ、守ってばかりで攻めるのを嫌がる連中も多いことは確かだ。
大企業の経営陣にこういう連中がだんだん増えて来ているように思う。
こんな時代、新しいことをやってはいけない。とにかく、無駄な投資を避け、今まで通りの仕事に専念して、余計なことをしない。
若い連中は、危機感を持ち、われわれももっと新しい業務に乗り出し、新規に投資していかないと、国際的な競争力に負ける、日本の経済はだめになる、と力説するが、たいてい経営陣は鼻でせせら笑って終わりのようだ。
今は、亀のようにじっとしていよう。そのうち景気がよくなれば、新規業務も考えればよい。
君子危うきに近寄らずだ、と。
私の知っている会社にもこの手の輩が一杯いる。
何かこれからの日本にあまり期待できそうにない気分だ。
この間まで、守らずに攻めてばかりだった企業が、今は守ってばかり。
銀行なんか、まさにそう。口では、攻めないといけない等と言っているようだが、やっていることは守り一方。
自民党も攻めるようなふりしながら、やっているのは守りばかり。
小泉さんは攻めるぞ!と勇ましいが、従いそうな兵隊は一部だけ。敵が呼応しかねない、わけわからない状況だ。
今、誰が敵で、誰が味方なのか?
私も又、困っている。小泉さんが味方なのか、敵なのか?
でも、これだけは是非お願いしたい。攻めるのはいいが、守りも十分固めながら攻めてほしい。
今のままではとても危なっかしい。僭越ながら、繰り返し指摘させてもらう。
攻撃こそ最大の防御の言辞だけで踊る愚は避けてほしい。
心からのお願いである。
靖国に行く前にすることがあるのでは?安部邦雄