経営者になって、実質的に6年が経つ。
中小企業の経営者のメインの仕事は資金繰りだと言われていたが、実際にやるとその通りだった。
ただ金を集めたり払ったりしているだけではダメで、金の流れを身体で感じ取れるようにならないと一流の経営者ではないらしい。
自分のまわりの金の動きだけではない、世間の大きな金の流れである。
金の力、金の匂いにもっと敏感にならないといけないそうだ。
金は欲望と恐怖の源泉である。
「金持ち父さん貧乏父さん」というベストセラーでロバートさんも仰っていた。
金のことを考える時に、私は「ナニワ金融道」も大変参考になっている。
青木雄二さんの街金をテーマにした漫画だが、これは中小企業の経営者なら一度は読んでおいても損はない作品だ。
世の中、まっとうに働く奴ばかりではない。
あわよくば金をつまんでやろう、引っぱってやろうと欲望をぎらつかせている奴も一杯いる。
青木氏は著書で何度も、「資本主義は勝ち逃げの世界や、ババ掴まされたらしまいや。」と繰り返している。
中小企業は、ババつかまされたら大企業と違ってそれだけで身の破滅である。
大企業は本当に優遇されている。
すでに、実質的に破綻していても、政府の政策とやらで何故か生き延びていたりする。
例え最終的に破綻したとしても、経営者にはほとんど債務責任も法的責任も行かない。
そりゃ、大企業を潰したとという負い目はあるし、プライドもズタズタになるだろう。
しかし、中小企業の経営者よりはるかにましである。
中小企業は、借金の連帯保証人として身ぐるみはがれ、後には何も残らない。
最近、連帯保証から経営者を免責させるような法改正が考えられはじめている。
つまり、会社倒産時にも、借金の返済義務は経営者個人にはないようにしようというのである。
これにより、敗者復活が可能になるという。
経営者は資本金を失うだけで済むことになるらしい。
私もこれだけ聞くと、結構だなと思う。
私なんか経営者だから、連帯保証人に何度もさせられている。
銀行からの融資だけではない。事務所の賃貸契約、各種のリース契約、販売契約の見返りに何やらわからない債務の肩代わり等々。
それらがすべて無効になるなら万々歳である。
でも、それでいいのだろうか?
逆からすると、危なっかしくて誰とも契約できなくなるのではないか?
銀行だって、金貸さないだろう。
事業を担保に金を貸すようになれば、可能性もあるだろうが、今の銀行にそんな能力等あるわけがない。
大企業の経営者にその責任を問う制度を作った方がよいのではないだろうか。
そごうの水島氏は、連帯保証は銀行が勝手にやったことで、わしゃ知らん!なんて平気で言っている。
中小企業の経営者には、言えないセリフである。
大企業でも、その時の経営陣の身ぐるみは剥ぐべきだ。それが公平というものだ。
大企業だから免れていると言うのなら、そこを法改正すべきだろう。
具体的にどうすればいいのか、私には今はわからない。
時間があれば勉強しようと思うが、今の私は会社を経営するのに精一杯である。
連帯保証人なんて死んでもなるな!と青木雄二氏は語る。
そうはいかない。
世の中労働者ばかりでは動かないのは自明である。なのに零細企業経営者は労働者より立場は弱いのだ。
おかしくないか?
これで夢を失ってしまえば、誰が経営者なんかやる?
これでIT分野で世界と戦えというの?
本当におかしくないか?
アメリカと戦うにはアメリカ並みの武器を!竹やりしか持てない安部邦雄