そういう歌があったなあと思い出した次第だ。
子供の頃、このフレーズを聞いて妙に胸がふくらんだ。
南の国には何かある、いつかきっと行かなくては、と。
南方の島というと、どうしてもこの季節、日本軍がアメリカと戦った島々を思い浮かべてしまう。
ガダルカナル、ミッドウェー、ラバウル、ニューギニア、サイパンに硫黄島。
悲しい歴史の一こまだが、それも又直視せねばならない現実に違いない。
ラバウル小唄の一節。
「♪恋し懐かしあの島見れば、椰子の葉陰に十字星?」
南十字星、日本では決してみられない、4つの星。
今年、私もベラウの海岸でボーと見ていた。
ホテルの客が「サザンクロス?ホエア?」などと言って話しかけてきた。
あのクロスがそうだよ、等と答えながら、私はほとんど見えない高さの北極星を捜していたりした。
そう、南半球では北極星は見えない。だから真北がどちらかは星を見ているだけではわからないのだ。知ってました?
日本軍って、散華していったのは、ほとんど日本から南の亜熱帯地域から熱帯にかけてなんですね。
満州やシベリア、アリューシャン列島で死ぬのとどちらが楽なんでしょうか?
南洋諸島というのは第一次世界大戦以降は日本の領土(信託統治)だったから、今の時代の感覚とは少し違うんだろうな。
君よ知るや南の国と何の関係があるんや、とそろそろいわれそうですね。
この歌を聞くと、エキゾチックな気分になるのです。
まるで、「オリエンタルカレー」のテーマソングのように。
♪エキゾチックなあの調べ、オリエンタルの謎を秘め、香るカレー夢の味?
言葉が上滑りしはじめていますね。ま、たまには許して下さい。
「君よ知るや南の国」はゲーテの作品なんですね。
この場合の南の国は地中海あたりの島のことでしょうか。
イタリアだとすると、あんまり日本人には南らしくありませんけどね。(ローマの緯度は札幌と同じ。地理の試験によく出て来ました。)
ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い
昔の学生が作ったドイツ絡みの川柳には面白いものが多いですね。
女性をメッチェンといい、完全徹夜をガンテツ、党派はブント、武闘はゲバルト、女性闘士はローザ・ルクセンブルグ。
ああ、我ダンテの詩才なく、バイロン、ハイネの熱なきも、石を抱きて野に歌う 芭蕉のさびを喜ばず
何か、こういう事書いていると、今という時代がとてつもなく知性も感性も鈍い時代になってしまったような気がして来るのは何故なんだろう。
やっぱり、夏の太陽の所為なんだろうか。そういえば、アルベール・カミュもそんなことを・・・・。
夏、夏、夏、夏、ココナッツ、安部邦雄