成田空港で、ご婦人がインタビューに答えてそう言っていた。
本心で言っているとしたら、強い人だなあと思った。
普通の人はそう思えないから、どうしてもこの時期海外旅行は見合わせることになる。
旅行業者大打撃、ちょっと御同情申し上げる。
サッカーの全日本チームも、「怖かったー」と言いながら帰国。早く日本に着いてくれと心から願っただろうなと思う。
その点、高橋尚子さんは全然気にしていないように見えた。
彼女もきっと「人間なんて死ぬ時は死ぬんだから」の一人なのかもしれない。
強い人は皆そうなんだろうな。
怖いよーと思った時には、もうそれでテロに負けているんだとか。
恐怖に勝てなければ、結局テロに屈したことになるなんて書いた新聞もあった。
簡単にいわないでほしいものだ。
テロに屈するなと言っても、電車の中のもめ事一つおさえられない日本人に何が期待できるのだろう。
私も一度渋谷駅で、ある人に襲いかかろうとした兄ちゃんを必死でとめたことがある。
そしたら、そいつは今度は私をホームに突き落とそうとした。
危うく落ちそうになったので、思わず近くの人の腕をつかんだのだが、何とこいつは迷惑そうに私の手をふりほどこうとしやがった。
な、なにするねん!
何とか、ホームの端で踏み止まって事なきを得たのだが、私は、突き落とそうとした奴ではなくて、この私の手をふりほどこうとした奴に無茶苦茶腹が立った。
そんなもの、落ちないように私を掴んでくれるのが普通だろう。
自分は関わりたくないのかもしれないが、それで俺が落ちて電車に轢かれでもしたらどないする気や?
こんな奴らが一杯の日本だよ。
テロと戦えるわけないじゃないか。
何か今もあの時のことを思い出すと腹が立って仕方がない。
暴力ぐらい、皆で止めんかい!
危なそうだったら、助けんかい!
大久保駅の二人を顕彰する前に、まず我と我が身を振り返らんとあかんのちゃう!
下手したら、わしも大久保駅のようになってたかもしれんねんど!
ちょっとは気いつけさらせ!あほんだら!
はて、私は何に怒っているのだろうか?
人間なんて死ぬ時は死ぬんだから?ああ、そうですね。
しかし、そういう前に貴方も何か努力してみて下さいね。
どうせ死んだらしまいや、なんて言っている人は私の経験ではたいていエゴイストだったような気がする。
自分さえ良ければいいと思わないと、人間なんて死ぬ時は死ぬんだから、なんてことをさらっと言えるわけがない。
少なくとも私は言いたくない。
死ぬ前にすることはいくらでもあるのだから。
後に残された人のことも考えないと、ね。
カッコつけたがりは大嫌い、安部邦雄