小人と呼ばれようと、今日は人の話から始めたい。
繰り返しになるが、表題の説明からさせてもらう。
原文は次の通り。
GREAT PEOPLE TALK ABOUT IDEAS
AVERAGE PEOPLE TALK ABOUT THINGS
SMALL PEOPLE TALK ABOUT OTHER PEOPLE
訳すほどのものではないが、簡単に言うと君子は考えを語り、小人は噂話を語るということ。
普通の人が入っているのもアメリカらしい。
誰が言ったのか知らないが、糸井重里さんが紹介されていた文である。
で、今回はある人の話。
FM大阪東京支社にH君という人がいる。
入社以来ずっと東京勤務。それもほぼ営業一筋。
人格的に問題があるという指摘もある(私が言ったのではないからね。)が、営業成績は抜群にいい。
彼はcontentsを売っているのではなく、contextを売っているのだと私は思っている。
先日、segawaxとのやりとりの中で私が指摘した、ビジネスモデルの3要素(CCD)である。
放送局は番組(タイム)やスポットを商品として売っている。→contents
放送は電波に乗って受信機に入り、リスナーに届く。→delivery
で、これは私も営業時代経験したことだが、今の時代ただ放送局でございと言ってタイムやスポットを売り歩くだけでは、なかなか新規の客はつかめない。
ある放送局の経営者は、業績が悪化したときに次のように言ったことがある。
「今までは放送局のブランドを買ってもらっていると思っていた。そのため人事異動しても問題はないと思っていたが、実際はお客さんは営業マンを買っていたのだ。それに気づかなかった。」
同様の例は車のディーラーなどでも顕著に現れる。
いい車、人気のある車(ブランド車)はただ並べておくだけで売れる。売り手側は客が来るのを待っているだけでいい。
しかし、ほとんどの車はこれといった特徴もなく、人気もずば抜けてあるわけではない。どこの会社も大して変わらないとすれば、後は営業マンの腕次第である。
この場合、差が出るのがcontextの分野だ。
文脈などという邦訳があるが、あまり的確な訳ではないのが惜しい。つまり、商品をユーザーに買ってもらうための条件整備ということになるだろうか。
普段からの付き合い、的確な情報の提供、その人のニーズをつかみ、更に商品開発に役立てる等。
contextを販売計画に組み込んでいる会社はこれからも伸びるはずだ。
何故ならほとんどの会社がcontextなどノーケアだからである。
さて、放送局のH君の話。
彼は、contentsだけでは売上には限界があると思っている。
新しい商品開発ははかばかしくない。
ただ、漫然と番組を作っているだけというイメージを払拭できない。(外部の人の意見として)
で、彼はcontentsを売るのではなく、contextを売ることに徹している。
そんなことは、他の誰もやらないからである。
普段からの人間的付き合い、的確な情報の提供、ニーズに合わせた商品作り、便利屋的な動き。
彼自体がマーケット(市場)になっている。
ユーザーはH君マーケットに集まり、情報をスワップし、商品を買い付け、こんなものを作ってくれと言い、マーケットにこういうのが足りないと話していく。
人自身がマーケットになる、これがcontextの象徴的表現だと私は思う。
それこそ、ワン・トゥ・ワン・マーケティング そのものではないだろうか。
実は、彼の仕事のやり方は私の営業マン時代の方法論とよく似ている。勿論彼の方が私よりはるかに実績もあり経験も豊かだが、その本質論は私でもよくわかるのである。
私の営業時代の話は追々書いていくつもりだが、このcontextを重視した営業戦略を人はもっと学ぶべきではと、強く思う今日この頃である。
あ?あ、又日が変わってしまった、安部邦雄inOSAKA