阪本啓一さんというマーケティング・コンサルタントの方が訳された本に「パーミション・マーケティング」というのがある。
著者はセス・ゴーディン。
詳しくは、私の項の「私見インターネット(4)」に書いてあるので、そちらを読んでいただきたいのだが、とりあえず拙稿の一部を紹介。
『Surfrider(阪本啓一)氏が今年翻訳し出版したのが「パーミション・マーケティング」。
ビジネスマンを中心に売上は好調だそうである。
パーミションというのは許可を与えるということ。
つまり、売り手に対し、ユーザーが自分に対して商品説明をしてもよい、販売しても良いという許可である。
強固な信頼関係が双方の間に成立していることが前提である。
基本的には「ワントゥワン・マーケティング」の発展形と位置付けられるだろう。』
インターネット・マーケティングの基本は、この「パーミション・マーケティング」だと言うのだが、なるほど、そうかもしれないな、と思った次第。
ところで、今日のこの欄で私が言いたいのは、こういった概論話ではない。
実は、先ほどまで、ある喫茶店でコーヒーを飲みながらぼーと新聞を読んでいたら、隣に黒い集団(というか灰色集団)がやってきた。
男3人に女性1人。
後から、同じような集団が又やってきて、少し離れたところに座った。
しばらくj、集団毎に何か打合せをしているなと思っていると、いきなり全員携帯で電話を始めたのだ。
「何だ、こいつら?」
時間は、日曜日の夜10時だ。
こんな時間から、電話勧誘でも始めるのかと思っていたら、話し方が、どうもなれなれしい。
別に聞き耳を立てていたわけではないので、彼等が何をやっているのかまでは理解していないが、どうも、会員権関連の顧客に対するアフターケアのようである。
その中の女性の声が、少しかん高いので時々聞こえてくる。
「あ、私でーす。すみません、この頃どうしてます。え?元気ですよ。明日、休みなんですよね。ええ、そんな話を聞いたんで、え?そうですね、あはははは・・・」
これに近い会話は、よくキャバクラ嬢とおぼしきギャルがファーストフードの店でやっている。
「明日、朝起こしてあげよか?大丈夫よ。私、朝強いんだから。え?そうよお、大丈夫よ、朝から○○の眠そうな声聞くのもいいかなと思って。え?いやーん、何言ってんのよう・・」
こっちが、何言ってんだよ!と言いたくなる。
携帯電話で喋るとどうしても声が大きくなるらしい。
ばっかじゃなかろか。
このキャバちゃん、後が面白い。
別のところへ、電話をしたと思うと、「ねえ、明日8時に起こしてくんない?。○○に電話で起こすといっちゃたのよ。夜勤明けでいいからね、お願い。」
常連客を引き止めるのもなかなか大変なようである。
で、先ほどの勧誘とおぼしき女性。
普通のOL風である。ただ、やはりこんな時間に勧誘しているわけだから、普通の会社ではなかろう。
夜中に電話をするのは、相手が会社にいては話せない内容なのかもしれない。
それに、大抵は相手も携帯電話のようである。
時々相手の電話が切れたりするのだ。
で、大胆に推測するに、この人たちは、何人かの顧客を持ち、その人に向かって今御用聞きをしているのではないかということだ。
つまり、彼等はみんな電話をかける相手から「パーミション」をもらっているということがわかるのだ。
電話をかけてもいいよというパーミションだ。
女の子は電話の中では、ケラケラと笑って大変明るい。
切ったとたんに、又手帳をジッと見つめる。
しばらくして、又電話。
「あ、私です。寝てませんでしたか?」
ケラケラケラケラ・・・。
男どもは、いわゆるタメ口を聞きながら、電話の相手と談笑。
相互の会話はほとんどない。
何か、パーミション・マーケティングの裏の世界を垣間見た感じである。
携帯電話にはパーミションはつきものである。
例の出会い系サイトの迷惑メールが話題になるのもこのパーミションと関係がある。
自分の番号を非通知にするような会社は最低だという話もよく聞く。
個人ならまだしも、会社の電話番号を秘匿するような会社は、顧客からパーミションを得ようとしていない、ユーザー不在の会社だと烙印をおされかねない。
さて長くなったので、とりあえず今日の結論。
これからの時代のキーワードはパーミションであるということ。
それゆえ、先ほどのような連中が、携帯電話を駆使して商売に励む姿がこれからもっと増えるであろうということだ。
こういうパーミションもありなのだろうなあ。
私は、でもこう思った。
こういう人たちの顧客にはなりたくない。
ナンバーワンのホステスも売上トップの営業マンも、やってることは同じなのかも、安部邦雄