立花隆氏の『東大生はバカになったか』を読んでいる。
本の中味についての話題は別の機会にするとして、興味深い点があったので、少し取り上げてみたい。
今の文科系の学生に「熱力学の第二の法則」を知っているかと問うと誰も答えられなかったと言う点だ。
これは理科系の学生なら皆知っている。
「シェークスピアの作品を読んだことがあるか?」と文科系の学生に聞くのと同じレベルらしい。
恥ずかしながら、私も所詮文科系なのか、「熱力学第二法則?」とクビをかしげてしまった。
ええと、エントロピーの増大の話かな?
じゃ、第一の法則は?第三の法則は?
で、軽くネットで調べてみた。
田中 洸人著「間違いだらけの科学法則」にこういう表現があったので引用する。
「熱」が関係する物理現象には2つの法則があると言われている。
そのうちの一つが「熱量の変化はその物体に与えたエネルギ?の総量に等しい」という法則で、もう一つが「熱は高温の物体から低温の物体へは何の変化もなしに移動できるが、その逆は不可能である」という意味の法則である。
前者が第一の法則、後者が第二の法則である。
私のおぼろげな記憶は正しかったようで、第二の法則はエントロピーが無限に増大するとか言う話だ。
つまり熱は低減することはないから、これからは自然界の熱量は上がる一方。
はるか未来には、世界は焦熱地獄になるとかいう話だ。
何かの警告本で読んだ話である。
これって、理科系の学生にはシェークスピアの作品と同じほどの基礎的教養なわけなんですね。
知らなかったなあ。
ついでに言うと、第三の法則なんかなそうだ。
これはニュートンの法則だったかもしれない。
年末だというのに、又堅苦しい話になってしまった。
つまり、文科系と理科系という違いだけで、これだけ基礎的教養に差があるということだ。
片方は全員が知っていて、片方はほとんど知らない。
教育の世界でも実はそうなのだ。
教育学を知る人と、知らない人の基礎的教養も同じように違う。
だから、教育を語る人は、同時に教育を実践している人だなどという錯覚が一般の人に生じるのだ。
経済を語る人が、会社の経営者ではないのと同じように、教育を語る人は、教育者である必要はないのだ。
ところが、一般の認識はそうではない。
教育の現場を知らないあんたに何がわかる、なんて言い方をされる人も多い。
じゃあ、それと同じことを経済学者に貴方は言いますか?
私が言いたいことはそこなのだ。
教育はこれからの日本、これからの世界にとっても経済と同じぐらい重要な問題のはずだ。
しかし、それを学校教育の場だけで片付けようとしているのが、今の日本の状況なのだ。
困ったことだと私は本当に思っている。
教育の問題はまだまだ続く。
この続きは来年のどこかで。
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