大阪の実家にいて、今日は初風呂だった。
前にも書いたが、実家には内風呂がない。
それで、毎度近くにある銭湯に通うことになる。
普段11時ぐらいで終わるのが普通の銭湯だが、大晦日だけは深夜の2時とか3時までやっている。
これは昔の名残でもある。
商店などをやっていると大晦日はたいてい12時ぐらいまで店を開けている。
私の実家もそうだった。
大晦日は本当に遅くまでお客さんがやってきた。
除夜の鐘を聞きながら、やっと店じまい。
親父はそれから子供と一緒に銭湯に行くことになる。
私はこれが嫌ではなかった。
正月を迎えるための禊として、この習慣は今も私の中にある。
銭湯は、元旦は休み。
2日だけ、朝風呂と称し、朝の7時ぐらいから昼の2時ぐらいまで開ける。
朝の光の中で湯船に身を浸す。
まだまだ眠いのだが、それがかえって気持ちが良かったりする。
3日は又休み。4日から平常営業に戻る。
これが銭湯の常識だった。ただし大阪だけの話かもしれない。
東京に住んで13年だが、ほとんど正月には東京にいないので東京の銭湯の事情は全く知らない。
多分同じようなものではなかろうか。
さて本来休みのはずの銭湯が、昨年から3日も営業を始めている。
だから、今日が私の初風呂となった次第だ。
どこの銭湯でもということではない。
歩いて5分ぐらいのところにある「清滝温泉」(守口市)だけの話である。
ここは、経営努力をしている銭湯の一つである。
普段は昼の2時から夜の2時まで営業している。
日曜日はこれに朝風呂がついて、午前7時から深夜2時までだ。
月に1回ぐらいしか休まない。
銭湯はどう考えても斜陽産業だ。
どこも客はどんどん減っていく。
跡取りもいないし、古くなった釜を取り替えるだけで膨大な資金が必要になってくる。
ほとんどの経営者には、そんな金はもう用立てることはできない。
勢い、主人がなくなったり、病気になって動けなくったりすると、とたんに店じまいせざるを得なくなる。
昨日、古い商店街は結局バイパスには勝てないと言った。
同じようなことは銭湯にもいえる。
家の内風呂とスーパー銭湯には勝てないのだ。
消えていくのもしかたがないのかもしれない。
清滝温泉の話に戻る。
ここは湯船も広く、とても暖かい。
中にはサウナも併設されている。(もちろん無料)
そして、先ほども言ったが1月3日も平常営業だ。
これは本当に助かる。
やはり、大きな湯船、暖かい湯殿、豊富な湯量は最高だ。
でも、他の銭湯はどこもたいてい休み。
戦意喪失というところだろうか。
そんな無理して店を開けたところで、客なんてほとんどやってこない。
だったら、組合の方針通り3日は休もう。
お客が不便だろうと知ったことではない。
客のニーズをいかにつかむかがこれからの商売のキーポイントのはず。
にもかかわらず、ほとんどの銭湯はその努力を諦めたようだ。
銭湯への批判はまだまだある。
しかし、それは別の機会に書くことにする。
今回はとりあえず「清滝温泉」をほめてあげたい。
今後も内風呂のない人々のために頑張ってほしいと強くYELLを贈らせていただく。
ただし場所柄か、深夜ゆえか、その筋の人が多いのがタマにキズかな、安部邦雄