SMAPが5人に戻った。
テレビ局はこれで数字がとれると喜んでいることだろう。
例え素行が少しぐらい悪くとも、金を稼いでくれるタレントは貴重だ。
芸能界は道徳を教える場ではない。
理想を語るのは自由だが、金にもならない倫理を受け入れる余地はないのだ。
きれい事はいいのだ。
金になればそれでいいのだ。
みんな金が目当てでここに集まっている。
今、涙を流すファンは貴重だ。
涙はどんなに汚れた世界も、きれいにして見せてくれる。
タレントに怖いのは飽きられることだけだ。
飽きられる前に手を打つ、これが人気商売の大切なところだ。
客が引いたとき、タレントは初めて命を絶たれるのだ。
ある漫才師が、私が舞台で倒れるまでご贔屓よろしくと言っていた。
それは彼にとっての理想だろう。
客に受けなくなったとき、どれだけ舞台で死にたいと言っても彼は舞台に上げてもらえないはずだ。
予定調和という言葉がある。
あらかじめ、こうなってほしいと願うみんなの心が今の姿を演出している。
番組はそのように進行し、SMAPという名の若い5人はそのような存在として今後も生きつづけるだろう。
客が飽きる、その時まで彼らはSMAPを演じ、業界は彼らを石油のように掘り尽くすだろう。
金が作り上げる一大帝国の姿、それが芸能界であり、それを費消しているのもファンという民衆なのである。
民衆の夢が覚めない限り,芸能界は文化として我々の上に君臨するはずである。
これが学校という世界の中だと、彼らの涙は感動的なのだが、安部邦雄