車でちょっと遠出をした。
足柄サービスエリアで、軽く腹ごしらえ。
メニューに「味噌煮込みきしめん」とあったので、名古屋名物の味噌煮込みうどんだと思って注文。
出てきたのは、全く似ても似つかぬものだった。
あの赤い味噌の色が出ていない!
麺はふにゃふにゃのきしめん。
こ、これは何やねん!
言うならば、味噌仕立てのけんちん汁にきしめんが添えられているというものだった。
足柄ではいつから「けんちんうどん」を「味噌煮込みきしめん」等と呼ぶようになったのだ!
ま、値段は630円だし、味もまあまあなので今回は許しといたろかい。
しっかし、名古屋の人が聞いたら怒るで、しかし。
ところで、けんちん汁って全国的に有名な食べ物だろうか?
私が大阪にいたころはほとんど名前を聞いたことがない。
吉野家のメニューにあるので、最近は何となく実感できるようになったのだが、どうも関西ではあまり食べていなかったような気がする。
吉野家によって関東ローカルな食い物が全国化していったのだろうか。
「けんちん汁」というのは元々「建長汁」といっていたものらしい。
鎌倉五山のひとつ、建長寺で考えられた精進料理だと人は言っている。
建長寺のまわりは「けんちん汁」を食べさせる店でいっぱいだとか。
京都南禅寺の湯豆腐みたいなものらしい。
ところで、やっぱり南禅寺は南の禅寺という意味なのかな?
東京に来て初めて食べたものというのが他にもたくさんある。
「もつ煮込み」というのもそうだ。
もつ、というのもあまり関西では言わない言葉だろう。
早い話、ホルモン。
これを味噌で煮こんであるだけで、見るからに労働者階級の食い物。
江戸は職人の町なんて言われたが、本当に塩辛いものが好きな労働者の集まったところだと実感する。
もつといえば私が東京に移ってしばらくしてから、もつ鍋が大はやりになったことを思い出す。
こちらは、福岡の料理だ。
キャベツともつがメインの鍋。
OLが並んでまで食べたがった鍋だ。
私はこんなものに並ぶのかとあきれたことが二度三度。
東京の食い物はあまりにも貧しいと悲しくなった頃だ。
もんじゃ焼きも何だかなあという感想だった。
同行した人が、ベビースター・ラーメンとか、ウマイカ(イカを甘い衣で揚げたヤツ)を入れるのにちょっとゲッソリ。
普通の野菜でいいじゃない、何でこんなジャンクなかやくを入れるんだ。
しかも、湯気がパアーと上がるし、中は煙いし、お好み焼きとエライ違いだと思ったものだ。
ま、今は年に1回ぐらいは月島に行っているが。
もんじゃ焼きで、街が活性化するというのも江戸らしくっていいとは思うが。
東京の食い物を他にも上げておこう。
おでんのタネ、ちくわぶ。
わざわざ食べたいとは思わないが、連れは常にこれを注文する。
さつま揚げ。もちろん鹿児島が本場だが、どってことない天ぷらだ。
せいろ。盛りそばのバリエーションをこういう。
イカせいろとか、鴨せいろとか、カツせいろとか。
竹であんだせいろに盛ってあるからこう言うんだろうな。
すき焼きも少し違う。
東京では「割り下」という調味料を使う。
有楽町のニュートーキョ?で食したのが最初だが、何かバカにされたような気分だった。
肉を焼いて醤油と砂糖で味付けするのが当然と思っていたのに、最初から割り下をジャー。
下品なすき焼きだった。
でも、これが東京では当たり前といわれ、またまた悲しくなった私だった。
食の後進国、東京。
俺はこんな街で、毎日飯を食うのか!?
で、私は決心した。
これからは、可能な限り自炊する。
こんな野蛮な味はイヤだ。
やはり、関西人は自炊が一番です。そうでなかったら、それだけで東京から逃げ帰りたくなりますからね。
東京の食の話、今日はこれぐらいにしといたろかい。
好きな東京の味、イクラの醤油付け、江戸前の握り鮨、後、紙カツぐらいかな、安部邦雄