先日、新聞に日本人がどれだけ科学知識があるかを各国と比べたレポートというのが出ていました。
結論は総じて日本人の科学知識は貧困化していると言う事だったと思います。
一番正答率の低いのは次の問題。
抗生物質はバクテリア(細菌)を殺すが、ウィルスにも効果がある。
○か×か?
正解率20%ぐらいでしたかね。
答えは×です。
ウィルス(ヴィールス)には効きません。
エイズにもインフルエンザにも抗生物質が効かないことは常識ではありませんか。
でも、日本人は抗生物質が万能のような誤った理解をしているようなのです。
確かに、そんな印象、私も少し持っておりますが。
この話、前にとりあげた「東大生はバカになったか」で、立花隆さんも言及されていました。
例えば、医学部に進学しようとする学生の中に高校で「生物学」を受講しなかったために、基礎的な生物学の知識がないのがいるそうです。
生物学を知らないで、人体の不思議がどうしてわかるのだと立花氏も語っていました。
それもこれも、授業が選択制になったため、本来必要な教養(素養)が得られなくなっているのだそうです。
しかたがないので、大学で高校時代の補習をするそうです。
そうしないと大学の授業が前に進まない。
何だか暗澹たる気分。
大学生に分数が出来ないのもいるらしい。
分数ぐらいできるだろう。
そんなのできてあたりまえではないか。
それが違うらしい。
分数を通分して、それに分数で割算する問題出すと、どうやって答えを出していいのかわからない学生がいるという。
計算を間違うのではない。
どうやって計算したらいいのかすらわからないらしい。
えー、それで学問ができるのー?
ウィルスとかバクテリアとかの話でも、これは医学の課題でもありますが、基本的には微生物の問題です。
どんな存在がわからないのに、それを死滅させることなどできないではありませんか。
抗生物質は抗菌性の物質です。
菌以外には直接の効果はありません。
その正解率が20%。
うーん、他の国ではほぼ常識らしいのですが。
放送局というとレーティングというのがあります。
ラジオでは聴取率、テレビでは視聴率といいます。
私は大学で統計を少し学びました。
それゆえ、放送局の中では統計に関する知識は他の人よりありました。
というか、私のいた放送局では、レーティングの担当者も「統計」とは何かについてほとんど知っていませんでした。
ちょっとあきれたものです。
担当者なんだから、ちょっと勉強しろよと思ったものです。
微積の知識が少しいりますし、集合とか確率の概念も必要です。
でも、この人たち何も知らない。
母集団とかサンプルとか無作為抽出とか統計誤差とかいう用語は知っていました。
しかし、その前に基礎的な知識(教養)が不足しているのです。
お経は読めても意味がわからないという存在なのです。
それで、レーティングの調査結果が出てくると、グラフにして営業資料にしようとしていました。
そんなの統計的には何の意味も持たない資料です。(有意か無意かという問題意識すらありません。)
私は当時の担当部長に思いきって言いました。
こんなもので、何が証明できるのですか?
部長は何と答えたか?
それは又明日。
統計は好きです、というかマジックの世界を見ているようなワクワク感すらあるんですから、安部邦雄