昨日の続きです。
初期ディレクター時代、つまり20代の頃ですが、私の作った番組もこの聴取率の対象でした。
2%とか3%が普通。
1%以下だとちょっとキツイ。
でも、サンプル数も800程度(もっと少なかったかも)だったから私はあまり気にしていませんでした。
2%だと、統計誤差が±2%弱だったので、単なる気休めにしかならないというのが私の感想でした。
下手したら0%かもしれない。(つまり、殆ど聞かれていない)
2%の番組が1%の番組よりよく聞かれているとは、この結果だけでは判断出来ないというのが正解です。
調査会社の人とも話したのですが、こんな単位の数字だと得られた数値自体にあまり意味がないねえ、などとよく笑いあったものです。
じゃ、放送局は何のためにこんな調査を行っていたのか?
得られた数値に統計的有意性はあまり見い出せないのに。
それは営業に人事異動された時にわかりました。
ラジオの聴取率は、営業ツールにすぎないということだったのです。
私達の放送局は、こんなにリスナーに聞かれています。
どうぞ、番組を買って下さい。スポットを買って下さい。
番組によっては10%近いレーティングをかせいでいたのもありました。
しかし、そんなことありえないと私も思いました。
いくら人気の番組でも、たかがラジオの番組を10人の内1人が聞いているなんてとても思えない。
どこかに作為がある。
実態とあわないような数値に意味はない。
で、営業部長に言ったのです。
こんな実態とかけはなれたレーティング数値はおかしくないですか?
こんなものに一千万円前後の金をよく使いますね。
部長は答えました。
安部よ。ここは学校やない。商売に結びつく数字以外はいらんのや。
捏造したわけやないんやから、ええ数字が出ていたら、それを使えばいい。
悪い数字やったら、外へ出さへんだけや。
それだけや。レーティングなんて。
ユーザーに統計数値を解析する力はない。
正しいかどうかより、相手が信じられるように演出したらいいだけだ。
統計なんて、単なるお題目にすぎないんだから。
部長の話はそういうことだったようです。
ここでもお経読みの中味知らず(論語読みの論語知らず)の世界がありました。
確かに営業をやりながら、モノは言い様、ハサミは使い様でいくらでも商売になるなあと実感したものです。
でも、これが統計だと思われたらちょっとなあと思いましたね。
今のレーティングは、共同調査になってサンプル数も増えた為、昔ほどの誤差はありません。
そのかわり、数字が正確になるに従い、聴取率の数字はぐーんと下がってしまいました。
2%もとれば御の字、5%となるとお化けです。
確かに、今ぐらいだと統計調査と言っても恥ずかしくないですね。
というか、数値というのはあくまで気配値なのです。
それだけが一人歩きするのも何だかなあと思います。
紅白が50%とれなかったとか、巨人戦が15%に落ちたとか言われていますが、あくまで過渡的な気配値です。
細かい数字に意味はありません。
何にもないと、どちらを選んだらいいかわからないと言う時の参考にする。
レーティングなんてそれだけのものとでも思っておくのがいいのではないでしょうか。
書いていて、今回はあまり面白くないなあと拝察する、安部邦雄